走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

本当のタスクシフティングと多種職医療職

2018年07月22日 | 仕事
北米で医師はRN(Registered Nurse:日本で言う正看護師のことです)のことをどう思っているか?

シンポジウムで出てきた質問です。

まず、病院に医師が常在するのはERぐらいです。他は医師は1日一回の回診が済めばとっとと他の場所(院外)へ行ってしまいます。手術や自分のオフィスでの外来診療です。なので医師にとってRNは医師の目となり手足になってくれる大切な職業で、RNがいなければ医師の仕事は成り立たないと言い切る人もいます。在宅診療も同様で在宅療養されている患者を訪れ病状観察をするのはRN、そして日常的なケアを行うのは介護士。受持医はよっぽどの事がない限り訪れません。

以前にも書きましたが、医師の目となり手足(主に手) となり、、、と言うぐらいですから観察力と医師への報告能力がしっかり身についている。医師はその報告を元に口頭指示を出し、RNはそれを記録し実施する事は急性期病棟でも日常的な風景です。そう言う点で医師と同レベルの会話ができます。これは看護師(正看護師、准看)に限らず薬剤師、理学療法士、作業療法士、栄養士など全ての医療多種職ができる事で、期待されている事です。

因みにカナダでは准看と正看護師がいます。医療の高度化に伴い准看の業務も変わりました。以前は病状の安定している部署で働く事が主だったのに急性期病棟で働く事も主流となりました。原因は医療の高度化とRN不足です。もちろん急性期病棟の中でも病状の安定した患者が条件だしRNは准看をしっかりサポートしていきます。准看もRNも同様に受持を持ち薬を投薬をします(病棟業務を離れて10年経つので記憶がうる覚えなのですが、その頃点滴薬は微調整のないものであれば准看も点滴を施行していたと思います)。注)日本の准看が同じ事ができるとは書いていませんから。お間違いないように。

予測されている死の死亡診断もできるし、口頭指示は24時間以内に医師から確認のサインをもらえば良い。前にも書いたように日本で特定行為と呼ばれる医療技術はRNや他の医療職でできるようになっています。よって大学院を出ているCNSやNPの独占行為ではないし、それが主で仕事をしているCNSやNPなんていません。

タスクシフティングを医者不足だから、もしくは医者は重労働で倒れそうだから、仕方なく他の医療職に仕事を分担する、、、的なことを想像する人が多いと思いますが、そうではありません。

医療の高度化により、医師が治療を施行するだけでは患者の健康が保てない時代がやってきたのです。患者を真ん中におき、多様性のある人間を健康に関わる全ての項目に働きかけるケアはそれぞれの医療職がそれを発揮して協働する事で健康へ導く事ができるようになったのです。その中で医師が独占的に行ってきた行為が、医師以外にもできる事に気付きチーム全体でバランス良くケアを行うようになったことをタスクシフティングと呼ぶのです。カナダではタスクシェアリングと呼ぶ方が多いし、すんなりくると思います。

何度も言いますが、医師の声が絶対的だとか、医師には逆らえないとか、そう言う太古の医師中心の医療は存在しません。医療職全てが患者を中心に同じレベルで働きお互いを尊敬している。それが本当のチーム医療です。

医師とNPはここで言うタスクシェアリングとはちょっと違うので明日書きます。



鳥取県 米子市は大火事や空襲がなく江戸時代の古い建物が多く残っています。あと複数の寺を外堀の外に複数一列に並べて建てて防御策としたのは弘前と米子だけだそうです。それらのお寺も訪ねました。

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