先日、『遺体ホテル 遣体-加速する「多死社会」の現実』と題するNet記事を読んだ。遠からずお迎えを受ける老生にとっては、身近な現実を垣間見たような思いもした。
同記事の要点は次の通りだ。
1.我が国の年間死亡者数は約130万人。死亡者は年々増加し、団塊の世代が80歳代を迎える2030年には毎年約2万人ずつ増加して160万人に達する。因みに都内での年間死亡者数は約11万人、毎日平均約300人以上が死亡しているが、島嶼部を除く都内の火葬場は慢性的に不足しており、その数は僅か26カ所しかなく増設は容易な状況ではない。
2.総じて特に大都市部では、仮想場や斎場が相対的に不足していること等の理由から、該当地域では、遺族の火葬希望期日・時間帯に対応出来ず、死亡者数が増える冬場や夏場等の繁忙期には火葬待ちの期間が長くなり、7日位になるケースも現に生じている。
3.遺体を解剖実習の為に提供する「遣体」の登録数は、30年前の約4倍で、現在約26万人が既に登録済で、その数も増加傾向にある。その理由は、独居老人の増加、遣体に供すれば火葬費用は病院負担になる等の背景事情もあるそうだ。
4.火葬順番待ち等の多死化事情に対応するため、既に首都圏、大阪等では、遺体を一時安置して、通夜・葬儀、遺族の宿泊等も可能な使用目的限定の「遺体ホテル」ビジネスも始められているとのことだ。
以上の諸事実からも明らかなとおり、我が国における多死化の波は、このように避けては通れない大きな社会現象になりつつあることは確かだ。
因みに、当方が住む浦安市の1日平均死亡者数は2.4人で、この数値は、全国813市区の1日平均死亡者数5.4人の半数以下である。死亡者数は全国平均より遥かに少ない。加えて、浦安市には最新の火葬場も整備されているし、今後の埋葬需要を十分満たせる立派な墓地公園も整備され、かつ拡充もされている。
その点で、浦安市民としては、多死社会の事情に悩まされることは将来的にもまず無さそうである。とは言え、余生は長くない老生と雖も、現に生起し、将来的にも益々懸念事情が複層化するこの国の「多死社会」の現状と今後の趨勢を等閑視することは出来ないだろう。
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