大リ-グ・マリナーズのイチロー選手が、6月15日のパドレス戦で元レッズの英雄ピート・ローズが持つ安打記録を超えて、日米通算4257安打(日1278、米2979)の記録を達成した。
野球が盛んな国々では賞賛の論評も多いのは当然だろうが、中には「日本のプロ野球のレベルはMLBと3Aの中間位だから、リンゴの数にオレンジの数を足して記録の比較をする訳にはいかぬ。イチローの安打には変なバントヒットのような「せこい安打」もあるから、ヒットの質の面でも一律に比較出来ない。王の868本塁打がホームランの世界記録として認められていないように・・云々」と冷めた評論が、特に米国内ではかなりあるように報じられてもいる。
確かにそんな観方もあるだろう。しかし、42歳の華奢な男(米国サイドから観て)が厳しい競争社会のMLBで、これ迄も年間100試合以上も守備につき、今年3割5分の打率を維持し、あと21安打でメジャー通算3000本安打記録を達成(過去30人)するところまで来ている。このこと一つを観ても如何に彼が「すごい野球人」であるかが理解出来る。
今回の記録達成を祝して国内朝刊各紙は特集記事を組んだり、号外を出したりしてイチローの偉業を称えた。斜に構えた評価もあろうしかし、国内外の普通のプロ野球人では到底この偉業は望んでも達成できない。イチローだから出来たのであろう。
意外なことに彼の視力は0.4だそうだが、・並々なら努力で優れた動体視力(眼筋を動かして「もの=ボール等」を追う瞬時のスピード、画面に映る一瞬の数字の読み取りをイチローは8桁数字まで正確に読めるとのこと)と強靭な体力・気力(大リーグ通算16年間で故障者リスト入りは僅か1回)の常時錬成・人の倍以上の努力を欠かさない自己試練に加え、天性にも恵まれ、そうしたことが今日の偉業に繋がったのであろう。
誠に慶賀な偉業だと率直に喜び、更なる記録に挑戦してもらいたい。 哲人のようなイチローの野球に関する語録も聊か哲学的である。その一部を列挙しておこう。
・しっかり準備していないのに、目標を語る資格はない。
・何かを長期間、成し遂げるためには考えや行動を一貫させる必要がある。
・自分の形を見付けておかないと、どん底まで突き落とされる。準備というのは、言い訳の材料となりう るものを排除していく。そのために考え得るすべてのことをこなしていく。
・こがれを持ちすぎて、自分の可能性をつぶしてしまう人はたくさんいます。自分の持っている能力を活かすことができれば、可能性が広がる。
・プレッシャーはかかる。どうしたってかかる。逃げられない。なら、いっそのこと(自分にプレッシャーを)かけよう。
野球に限らず、道を求めて進む人全ての者が以て銘すべき含蓄のある言葉であると思う。
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