行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

周梨槃特

2017年04月07日 | 仏の心
釈尊の時代のインドに、周梨槃特という、記憶力の弱い青年がいました。
周梨槃特は、どこへ行っても役立たずで相手にされませんでした。自分の名前すら忘れてしまうほどです。
周梨槃特のお兄さんは頭の良い人でしたが、そのお兄さんも周梨槃特はだめだと、あきらめてしまいました。
周梨槃特が歩きながら泣いていると、ちょうど釈尊が通りがかられました。
「あんた、どうしてそんなに泣いているんかね?」
周梨槃特がわけを話すと、釈尊は、
「それなら、塵を払って、垢を除こう」という言葉だけ覚えなさい。」
と言われました。周梨槃特は、言われたとおり、一生懸命「塵を払って、垢を除こう。塵を払って、垢を除こう」と唱え続けました。
やがて周梨槃特は「これは自分の心の塵を払って、垢を除こうと言うことなのだ」と気がつきました。
そして、釈尊の弟子になって、悟りを開くことができたのです。

このお話には、2つの教訓があると思います。
一つは、仏法は知識ではないと言うことです。いろいろなことを知っていることが大切なのではないと言うことです。いくら知っていても、徳のない人は悟りを開けません。一方で周梨槃特のように知識はなくとも、一つのことに純粋に取り組む事が尊いのです。

もう一つは、心の塵や垢とは、煩悩や、三毒(貪り、いかり、愚痴)の事で、それらが、人間の中の仏の心を覆い隠しているということです。

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