行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

施す心

2010年01月19日 | 禅の心
岡山県久米南町・法然上人の誕生寺


世の中は厳しいと言います。それはわかりきったことです。

最近、他人に対して「甘えるな」という風潮が強くなってきました。

私は「自己責任」という言葉があまり好きではありません。

世の中には、どうしても頑張ることのできない人がいるし、どうしても避けることのできない不幸があるからです。

社会的に立場の弱い人たちに対して、冷たい世の中になったなと思います。

募金活動をやっていると、

「働かずにタダで食べていけるなんて、調子よすぎるわ。」

と言う声が必ず聞こえてきます。(もちろんほんの一部ですが。)

働きたくても働くことができない人がいることが、想像できないのです。

立場の弱い人のことが、想像できなくなってしまうのです。

『ベルサイユの薔薇』で、マリーアントワネットが、

「パンが食べられなければ、お菓子を食べればいいじゃないの。」

と、トンチンカンなことを言う有名な台詞があります。

今、まさにそのような世の中になっているのだと思います。

「布施」という言葉があります。

菩薩行を修める者が実践しなければならない6つの徳目である「六波羅蜜」の一つに「布施波羅蜜」があります。

決してお寺にお金を納めることだけが布施ではありません。

募金をするのも、布施です。

阪神淡路大震災などの時のボランティアの方々も布施をやっておられたのです。

電車の中で、お年寄りや、体の不自由な方に席を譲って差し上げるのも、布施の一つです。

布施は、他人の幸せを願って「ちょっぴり損をしましょうや。」という考え方です。

人の幸せを願って生きることが、幸せなことだと思うのです。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 堪え忍ぶ世の中 | トップ | 穏やかに生きる »
最新の画像もっと見る

禅の心」カテゴリの最新記事