ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評など】スベトラーナ・アレクシエービッチ「チェルノブイリの祈り」/難波先生より

2015-12-07 13:10:10 | 難波紘二先生
【書評など】
 1)「買いたい新書」書評にスベトラーナ・アレクシエービッチ「チェルノブイリの祈り」(岩波現代文庫, 2011/6)を取りあげました。
 今年のノーベル文学賞受賞者で、ベラルーシ人として初めて、ジャーナリストとしても初めてです。1986年4月26日,ウクライナのチェルノブイリで発生した原発事故により被爆した人たちの証言をもとに書かれたルポルタージュで、ソ連存続中は当局の妨害により取材ができず、10年後にやっと300人の関係者・住民から証言をえることができたという。
 冒頭と最後に,同じタイトルの証言「孤独な人間の声」が収められている。一つは原発火災について,予備知識を与えられないまま,通常の装備で消火活動にあたった消防士の妻。夫は原発に近い市の消防署で同僚5人と最初に駆けつけ,原発屋上で消火活動にあたった。この作業で浴びた放射線量は致死量の4倍。その日のうちに最初の死者が出ている。他の5人も全員死んだ。
 もう一つは事故処理作業員の妻の証言で,夫は7人の作業班に属し,強制移住させられた村々の電柱に登り,電線を切る作業に従事した。事故から半年経っていたのに,3年後に最初の発病者が出て次々と全員が死んだ。夫は甲状腺がんと喉頭がんを発症して最後に死んだ。
 こういう本は,ヒロシマとナガサキにはなく福島にもない。日本語訳が出された98年時点でベラルーシでの出版は認められていないという。「不都合な真実」を隠そうという状況は、ベラルーシにも日本にもある。日本のジャーナリスト・作家の奮起を促す作品だ。以下こちらに、
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1449455104
 2)献本など:
 医薬経済社から「医薬経済」11/30号のご恵送をいただいた。お礼申しあげます。
 西先生から久間十義の小説「禁断のスカルペル」(日経新聞社)が届いた。厚くお礼申しあげます。どちらも読み終えてから、内容についてのコメントを述べたいと思います。
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