ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【半沢直樹】難波先生より

2013-10-18 12:59:12 | 難波紘二先生
【半沢直樹】上記池井戸潤の「オレたち…」に登場する。バブルの最中に「産業中央銀行」(モデルは三菱銀行)に就職した120人の大卒のひとり。物語の主人公だ。
 作者の経歴とダブっている。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/池井戸潤
 昨夜、床の中で「バブル入行組」を読み始めたら面白くて止められず、結局終りまで読んでしまった。同期入行の仲間たちが、お互いに助け合って銀行内にいる悪徳上司をやっつけて行く物語だ。
 序章で就職する銀行が「産業中央銀行」。ところが第1章で半沢がいる銀行は「東京中央銀行」。これは東京銀行と三菱銀行が合併(1996)した後の物語で、半沢は大阪西支店の融資課長になっている。実際には著者は1995年、阪神大震災の年に退職しているから、物語の時代設定と作者の実人生とはずれている。


 「基本は性善説。しかし、やられたら倍返し」
 この半沢が抱く人生哲学のせりふが何度も繰り返される。
 ある中小企業の社長と上司の支店長が組んで、粉飾決算された書類で5億円を「信用貸し」させられる。ことが明るみに出ると、支店長は融資課長の責任に転嫁して自分は知らんぷりをしようとする。ぎりぎりのところまで追いつめられた半沢が、反撃に出て悪徳上司を叩きつぶす。痛快だった。


 で、今朝、起きてから2冊目の「花のバブル組」を一気に読んだ。前回の終りに、半沢は支店長に「俺を東京本店第2営業部次長にするなら、見逃してやる」と取引条件を出している。
 そこで半沢直樹は冒頭から第2営業部次長として登場する。2作目は2行合併後の人事の上でのきしみと派閥争い、不良融資の責任転嫁、金融庁の査察などがテーマになっている。団塊の世代に対する「ロスト・ジェネレーション」(失われた世代)からの批評は厳しい。
 「オレたちバブル入行組は、ずっと経済のトンネルの中を走行してきた地下鉄組なんだ。
 だけどそれはオレたちのせいじゃない。バブル時代、見境のないイケイケドンドンの経営戦略で銀行を迷走させた奴ら、いわゆる<団塊の世代>の奴らにそもそも原因がある。学生時代は全共闘だ革命だとほざきながら、結局資本主義に屈して会社に入った途端、考えることをやめちまった腰抜けどもよ。」


 こういうふうに「団塊の世代」を悪の世代と規定し、バブル破裂後の「失われた20年」の間に世に出た、若者たちの鬱憤を晴らしてくれるところに、この連作経済小説が人気をよぶ理由があるらしい。
 これに続くのが「ロスジェネの逆襲」、「銀翼のイカロス」らしいが、同じように半沢が主人公なのか、それとも第2作に萌芽的に出てくる同期入行組の群像ストーリーになるのか、ちょっと気になる。たぶん作者にも結末がまだ見えていないのだと思うけれど。
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