ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【5学会共同声明】難波先生より

2012-08-20 12:24:29 | 難波紘二先生
【5学会共同声明】 今回の「5学会共同声明」は、6/20に徳洲会が「修復腎移植の先進医療申請」の際に、一件書類とともに提出した徳田虎雄理事長ら3名連名の「意見書」(2月の「5学会要望書」に対する批判)に対する反批判である。一読して、無内容、非科学性、権威主義etcに満ちており、思わず笑ってしまった。末尾に論拠となる参考文献が5篇掲げてある(添付2)。これは文献1以外は、米国NIHのMEDLINEという医学文献データベースを利用して抽出したものである。文献の記載法がMEDLINE固有のものだ。1は問題で、論文の巻号ページの記入がない。実は、Int J Urolは日本泌尿器科学会の英文学会誌なのである。<International Journal of Urology, official publication of Japanese Urological Association>と学会の英文HPにある。

 腎移植は泌尿器科医がやっていることが多いので、都合のよい文献が投稿されたので、刊行前のものを「声明文」に用いたのであろう。だから「4/4」という投稿日しか書けなかったのである。どんどん研究が進む場合に、引用文献を自著に関しては「印刷中」と書くことは許されるが、このような一種の公文書において、未刊行であり従って第三者が検証することのできない論文原稿を、証拠として引用することは許されない。

 「声明書」は、「日本国内にも、小径腎癌の全摘が患者に悪い影響を与えるという報告がある」として、1, 2の2論文を挙げている。1が印刷中だったことは、上に述べた。2は2008/9に発表され、以後5年間に3本の論文に引用されている(韓国2, カナダ1)。つまりほとんど注目されていない論文である。3は韓国の論文で2010/9に掲載され、約2年間に1回だけ引用されている。4は今年の7月に出たばかりの論文でまだ読まれていない。5は二人とも、有名な「腎癌の部分切除論者」である。

 科学の世界では「クズ論文」のことを「ジャンク・ペーパー」という。「ジャンク」は「ジャンク・フード」のジャンクである。「要望書」に対する反批判のために、MEDLINEからこのようなジャンク・ペーパーを探してきて、5つの学会理事著の名を連ねて、ご大層な印鑑を押して、お墨付きを与えようとする、この空しい努力を見ると、こうつぶやかざるをえない。

 「もはや、勝負あった」
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