ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【傷の治り】難波先生より

2015-08-04 19:09:32 | 難波紘二先生
【傷の治り】
 7 /21(火)の夜に酔っぱらって転倒して生じたケガについてはこの前書いた。「10日程度で一次治癒するだろう」と見通しも述べたが、前頭部の外傷は血止めも包帯もしなかったのに、7日目にカサブタが自然にとれて、もとに戻った。テラコートリルを塗り、バンドエイドをした他の箇所は、10日目の7/31(金)にバンドエイドを剥がしたら、傷が乾いてほぼ治ったところだった。やはりステロイド剤は傷の治癒を遅らせるようだ。
 左の母指球筋のところにも出血した外傷があったのだが、小さいので消毒も何もせずに放っておいたら、これが一番早く治った。
 いずれも「瘢痕形成」のない「一次治癒」である。
 日数的にも病理学教科書に書いてあるとおりで、加齢はあまり関係ないな、と思った。

 すべて常備薬を使ったので、医療費は実質ゼロである。
 1キロほど離れたところに消防署がある。仮にあの夜、救急車を呼んで、医療センターの救急部に運んでもらっていたら、どうなっていたか思考実験してみよう。
 左の頭髪を刈り、傷を縫合し、右手首、両肘、左膝の傷を消毒して、包帯を巻き、臀部に抗生剤を予防注射され、全身打撲があるから即入院となり、翌日全身のCT検査をされ、骨密度の検査までされ、まあ1週間は入院となっただろうと思う。
 3割の自己負担金だけでいくらになるだろう。救急車の経費はまた別の問題としてある。
 消毒、化膿止めなどの通常の医療行為が、いかに副作用があるかということを痛切に感じた10日間だった。これでもう入浴にも支障がなくなった。
 ただ私の場合「実験」として、楽しみながらやったので、読者の方は自己判断を過信しないでほしいと警告しておきたい。何ごとも「自己責任」ですぞ。

 入院中なら酒が飲めないが(イタリアの病院では昼食にワインの小瓶がつく)、自宅なので普通の生活が送れた。だが、私は「入眠障害」があり、即効性の睡眠導入薬「マイスリー」と持続性睡眠薬「ロヒプノール」を服用している。
 脳細胞にはガンマ・アミノ酪酸(GABA)に対する受容体がある。GABA受容体の活性は情動や睡眠と密接に関連している。マイスリーは超即効性のGABA受容体阻害剤、ロヒプノールは持続性の阻害剤で、ともに睡眠薬として効果を発揮する。

 ところが最近、マイスリー1錠では入眠できず、ときに2錠を服用せざるをえなくなった。要するに薬に対する抵抗性が生じたのである。
 そこで7/31金曜日、主治医のいる病院にでかけ、薬を変えてもらった。このH先生は、YMCA予備校で数学の講師をしていた時に、飯島宗一(当時、名大学長)が推薦してNTTクレドホールで開催された、人体のプラスティネーション(人体や臓器を合成樹脂に包埋して防腐・透明化したもの)展を観て、脳以外の全身に張りめぐらされた末梢神経の網に驚嘆して、一念発起し医学部に社会人入学して、精神科医になったのだそうだ。
 私もこの展覧会は観た。養老孟司が推薦人になっていたのは記憶にあるが、恩師の推薦文があったことは忘れていた。

 前、呉の病院に勤務していたのだが、広島市に転勤したので、私は追っかけで受診している。もう10年近くお世話になっている。で、「マイスリー耐性」に対して、「アモバン(一般名ゾビクロン)はどうか」というから、「あれは排泄が腎臓だけでなく唾液腺から起こるから、翌日、唾液中にアモバンが出てきて苦味を感じる」というと、
 「アモバンは化学合成しているので、光学的異性体があり、D(dextra=右旋)体とS(sinistra=左旋)体があった。ゾビクロンのうち薬理学的に有効なのは、左旋体です」というから、なるほどアモバンの「あとくちが悪い(にがい)」のは代謝されない右旋性の異性体のせいか、とわかった。
 ところが「最近、ゾビクロンの左旋体だけからなる<ルネスタ>という製品が出た」と話してくれた。これだと理論的には「あとくちが悪い」ということはない。なぜなら代謝物は腎臓から尿中に排出されるからだ。
 ところがH先生も使い始めてまだ2年で、病院には1mg錠しかない。「理論的にはマイスリー5mg錠に対して、ルネスタ3mg錠があれば、1錠で足りるのですが…」と申し訳なさそうだ。つまりマイスリーの有効成分は2.5mgなので左旋体のみのルネスタだと、3mg錠でマイスリー1錠に匹敵する、という意味だ。
 「ではこうしましょう。1回の処方制限がない薬とのことですから、最初の1週間は寝る前に2錠を飲むということで、とりあえず1月分を処方してください。異常があれば、メールでお知らせします」ということで、マイスリーをルネスタに置き換えただけで、他は従来どおりの薬をもらってきた。

 で、昨夜は20時から晩酌を初め、肴をつまみながら、その日の新聞四紙を読み、NHKの9時のニュースを半ばまで見た。焼酎は向島のA君が贈ってくれた小梅漬けを入れたものを3杯飲んだが、ほろ酔いだった。
 仕事場に戻って書きかけの「引力」についての文章を完成させた。これは文献を見ながらの執筆だから、かなり時間がかかった。ほぼ終わったのが23時で、母屋に戻ってルネスタ2錠とロヒプノール1錠を呑み、入浴したのち、アメリカの女性脳科学者が37歳で脳の「動静脈奇形(AVM)」の破裂のため脳卒中になり、そのいきさつを内省した「奇跡の脳」(新潮文庫)という本を読みながら床についた。
 左中大脳動脈に先天性のAVMがあるのを知らず、目まい、ふらつきの症状に続いて、右腕が麻痺してやっと左の脳卒中だと気づいている。解説を養老孟司と茂木健一郎が書いていた。
 どういう本かという見当がついたところで、猛烈に眠くなってきた。枕元のスタンドを消し、眼を閉じるとやはり「入眠時幻覚」があった。いくつかの輝点が視野の周囲に出ている。「これは眠れる」と思った。
 冷房のスイッチを1時間後オフに設定して、そのまますぐに眠った。

 朝になって一度トイレに行き、暑いのでまた冷房を入れて、二度寝した。ルネスタには「後口の悪さ」は確かになかったが、2錠はきつかったようで、眠くてたまらない。結局、10時間くらい眠ってしまった。これだと睡眠持続剤であるロヒプノールは不必要かもしれないと思うので、今夜はルネスタ2錠だけでトライしてみようと思う。
 感心したのは、入眠直前の記憶がすっかり完全に残っていることだ。訳者の竹内薫の解説がすぐれていたことも記憶に残っている。著者の名前は初めから頭に入らなかったので覚えていないが、ここまでは本を見ないで記憶だけで書いた。
 別に記憶力を誇るつもりはない。これは「短期メモリ」で海馬に固定されていないから数日したら忘れてしまう。ただマイスリーとの比較のために書いている。マイスリーではこういう記憶保持はなかったのは事実である。

 追記=土曜日の夜、「ルネスタ2錠」でトライしたら、結局寝付かれず途中ロヒプノール1錠を追加して、寝るまでに3時間かかった。これに懲りて、日曜日の夜は「ルネスタ2錠+ロヒプノール1錠」を呑み、少し早めに床についたら1時間ほどで眠れた。やはり寝起きが悪いが、これは仕方がないかと思った。
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5 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-08-05 12:21:28
光学異性体は、RとS、あるいはLとDが対になっているものだと思っていましたが、医学の世界ではDとSで区別するんでしょうかね
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Unknown (Mr.S)
2015-08-05 18:02:44
薬で寝るのはあかんよ。
眠れないのなら朝まで起きていることです。
そして夜になるまで転寝も我慢しましょう。
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Unknown (花子)
2015-08-05 21:20:27
歌でも歌って踊るなどしたらいかがですか。夜中に歌を歌える環境にお住まいの方が羨ましいです。

私はフラダンスやストレッチが入眠儀式ですが、夜中に歌い上げたくなります。
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The Dead Organ (REYNOLDS)
2015-08-06 00:46:07
http://tvdormamiru.blog.fc2.com/blog-entry-23239.html
欲望見ました。WOW
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Unknown (Unknown)
2015-08-06 00:55:42
ゾルピデム(マイスリー)もフリニトラゼパム(ロヒプノール)も、GABAの作用を増強します。阻害剤ではありません。

GABAは抑制性の神経伝達物質なので、阻害したら痙攣を起こしたりするんじゃないかな。
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