【青大将】
若大将は加山雄三主演の映画、これはヘビの話。5/31にドライブの途中で見つけた、車に轢かれたヘビがシマヘビか青大将かが、前に問題になった。その時に<Unknown (アリスト) 2014-06-10 13:29: 虹彩の色を見ると見分けやすいです。赤っぽいのがシマヘビ、緑がかっているとアオダイショウ。>という指摘があった。
その後、似たようなヘビを見かけるチャンスがなかったが、7/4金曜日の午後、大学生協からの帰路、自宅付近の国道で車に轢かれたヘビを見かけた。二度も引かれて内臓がほとんど飛び出したヘビを、グローブボックスに入れてあるビニール袋に入れて持ち帰った。体長が120センチ、頭幅が20mmもある大きなヘビだ。
A4のビニールフォルダーをハサミで開いてA3のマットを作成し、その上にヘビを置いて撮影しながら、ピンセットとスイス・アーミーナイフのハサミを使って解剖した。「外傷性ショック死」のためか血液が凝固しないでいる。胴の三箇所が裂けて、ほぼ「全内臓脱」の状態である。気管分岐部と肺は確認できなかった。内臓の構造もヒトとはちがうはずだが、手許の比較解剖学の本には骨の違いは書いてあるが、ヘビの内臓に関して詳しい記述がない。
<虹彩の色を見ると見分けやすいです。赤っぽいのがシマヘビ、緑がかっているとアオダイショウ。>という指摘だが、下写真の虹彩はどう見ても「茶色」で、少なくとも「緑っぽく」は見えない。
右顔面には損傷がないが、左側は口が閉じないほど傷を受けている。その下は対照写真で、5/30に向原町の路上で撮影した同じく車に轢かれたヘビ頭部。よく見るとこれも虹彩が茶色である。頭の外形、ウロコの形と虹彩を見るかぎり、どちらも同じヘビだと思われる。虹彩が「赤っぽい」のが果たしてシマヘビなら、これがそうだろう。
面白いのは、頭部を解剖してみて、両側の鼻腔が膜状の口蓋の上に開口しており、上顎には縦に溝があり、口を締めると気管開口部が鼻腔開口部に接近するようになっている。それとは別に気管のすぐ前側に長い舌があり、先端が黒色をしていて、細く二つに分かれ、鼻腔の内腔に接するようにできている。ヘビの舌はなぜ分岐しているか、それは鼻腔が二つあるからだ。つまりこれは「嗅覚器官」なのだ。口を閉じても舌が出せるように、顎の前端は少し凹んでいる。両顎の付け根には強大な咬筋(白筋)が発達している。
この舌の下方は筋性の長い棒となって気管の前を走って、胸部にまで達している。舌と気管と食道の位置関係がどうなっているのか、試みに口から赤鉛筆を差し込んで食道の位置をはっきりさせてみると、前から舌、気管、食道の順に並んでいた。気管は多数の軟骨輪で支えられているから、大きな獲物を呑みこんでも窒息する心配はないが、舌は圧迫されて動かせなくなるはずだ。
ヒトでは喉頭(気管の開口部)が舌の根部から始まるから誤嚥が起こりやすい。ことに老人に起こりやすく、最近では、「誤嚥性肺炎」の予防のため、肺炎双球菌ワクチンの予防接種が行われている。しかし、ヘビの場合は気管開口部が口蓋溝から始まっているので、誤嚥は起こらないなと思った。
で、ヘビの種類だが、まだ決めかねている。
シマヘビ=Elaphe quadrivirgata (Boie)
アオダイショウ=Elaphe climacohora(Boie)
これはどちらもBoieという学者が命名しており、学名の意味は、シマヘビが「四つの線条がある鹿皮状の軟らかいヘビ」、青大将が「長く延びる鹿皮状のヘビ」で、まったくセンスがない。「北隆館・動物図鑑」における「上野俊一」の記述を読んでも、本当に2種に分かれるのかはっきりしない。
「種が違うかどうか」ということの決め手は「生殖器」の構造が同じかどうかで決まるとオサムシの研究家でもあった分子生物学者の大沢省三先生にお聞きしたことがある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%BE%A4%E7%9C%81%E4%B8%89
オサムシの「種分化」はオスとメスの生殖器が合致するかどうかにより生じたという。
が、問題のヘビは、1匹目はオスで2匹目はメスらしくペニスがないので、比較できない。
というわけで、また宿題が残った…。
若大将は加山雄三主演の映画、これはヘビの話。5/31にドライブの途中で見つけた、車に轢かれたヘビがシマヘビか青大将かが、前に問題になった。その時に<Unknown (アリスト) 2014-06-10 13:29: 虹彩の色を見ると見分けやすいです。赤っぽいのがシマヘビ、緑がかっているとアオダイショウ。>という指摘があった。
その後、似たようなヘビを見かけるチャンスがなかったが、7/4金曜日の午後、大学生協からの帰路、自宅付近の国道で車に轢かれたヘビを見かけた。二度も引かれて内臓がほとんど飛び出したヘビを、グローブボックスに入れてあるビニール袋に入れて持ち帰った。体長が120センチ、頭幅が20mmもある大きなヘビだ。
A4のビニールフォルダーをハサミで開いてA3のマットを作成し、その上にヘビを置いて撮影しながら、ピンセットとスイス・アーミーナイフのハサミを使って解剖した。「外傷性ショック死」のためか血液が凝固しないでいる。胴の三箇所が裂けて、ほぼ「全内臓脱」の状態である。気管分岐部と肺は確認できなかった。内臓の構造もヒトとはちがうはずだが、手許の比較解剖学の本には骨の違いは書いてあるが、ヘビの内臓に関して詳しい記述がない。
<虹彩の色を見ると見分けやすいです。赤っぽいのがシマヘビ、緑がかっているとアオダイショウ。>という指摘だが、下写真の虹彩はどう見ても「茶色」で、少なくとも「緑っぽく」は見えない。
右顔面には損傷がないが、左側は口が閉じないほど傷を受けている。その下は対照写真で、5/30に向原町の路上で撮影した同じく車に轢かれたヘビ頭部。よく見るとこれも虹彩が茶色である。頭の外形、ウロコの形と虹彩を見るかぎり、どちらも同じヘビだと思われる。虹彩が「赤っぽい」のが果たしてシマヘビなら、これがそうだろう。
面白いのは、頭部を解剖してみて、両側の鼻腔が膜状の口蓋の上に開口しており、上顎には縦に溝があり、口を締めると気管開口部が鼻腔開口部に接近するようになっている。それとは別に気管のすぐ前側に長い舌があり、先端が黒色をしていて、細く二つに分かれ、鼻腔の内腔に接するようにできている。ヘビの舌はなぜ分岐しているか、それは鼻腔が二つあるからだ。つまりこれは「嗅覚器官」なのだ。口を閉じても舌が出せるように、顎の前端は少し凹んでいる。両顎の付け根には強大な咬筋(白筋)が発達している。
この舌の下方は筋性の長い棒となって気管の前を走って、胸部にまで達している。舌と気管と食道の位置関係がどうなっているのか、試みに口から赤鉛筆を差し込んで食道の位置をはっきりさせてみると、前から舌、気管、食道の順に並んでいた。気管は多数の軟骨輪で支えられているから、大きな獲物を呑みこんでも窒息する心配はないが、舌は圧迫されて動かせなくなるはずだ。
ヒトでは喉頭(気管の開口部)が舌の根部から始まるから誤嚥が起こりやすい。ことに老人に起こりやすく、最近では、「誤嚥性肺炎」の予防のため、肺炎双球菌ワクチンの予防接種が行われている。しかし、ヘビの場合は気管開口部が口蓋溝から始まっているので、誤嚥は起こらないなと思った。
で、ヘビの種類だが、まだ決めかねている。
シマヘビ=Elaphe quadrivirgata (Boie)
アオダイショウ=Elaphe climacohora(Boie)
これはどちらもBoieという学者が命名しており、学名の意味は、シマヘビが「四つの線条がある鹿皮状の軟らかいヘビ」、青大将が「長く延びる鹿皮状のヘビ」で、まったくセンスがない。「北隆館・動物図鑑」における「上野俊一」の記述を読んでも、本当に2種に分かれるのかはっきりしない。
「種が違うかどうか」ということの決め手は「生殖器」の構造が同じかどうかで決まるとオサムシの研究家でもあった分子生物学者の大沢省三先生にお聞きしたことがある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%BE%A4%E7%9C%81%E4%B8%89
オサムシの「種分化」はオスとメスの生殖器が合致するかどうかにより生じたという。
が、問題のヘビは、1匹目はオスで2匹目はメスらしくペニスがないので、比較できない。
というわけで、また宿題が残った…。
また、両者とも昼行性、青大将の虹彩はオリーブ色だそうで、暗い黄色となると褐色とも言えなくもない。
どうやらシマヘビであって青大将でもありそうな例の蛇。
両者が交尾した新種ではないでしょうか?
シマダイショウとでも言うべきか。
体の周囲の鱗の数(体列鱗数)を数えてみてください。19列あればシマヘビ、23~25列あればアオダイショウです。
ちなみに、ヤマカガシも19列、マムシは21列(まれに多い個体や少ない個体がいる)だそうです。
体鱗列数の書き間違い。