【理研と国防?】
「Sakura Financial Times」というネットメディアに以下の論評がある。
2014年06月19日 09:30 JST
<【コラム 山口亮】小保方問題が明白にした日本の深刻な安全保障問題(下)>
http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140619_3
「ピア・レヴュー(peer review)」について、こう説明している。
<大学院でハードな教育を受け、運よく博士論文を書き上げても、就職するには、業績を上げ続けていく必要がある。研究費の獲得も、事後評価を含めた「ペア・レビュー」といわれる、研究者同士の相互チェックが働く仕組みが根付いている。
「ペア・レビュー」とは、研究者の研究費の配分について、同じ分野の現役の研究者が、それぞれ研究費の審査を行うと同時に、費用が割り当てられた研究成果についても、相互評価するというものだ。>
同じ言葉を2度くり返しているから、書き間違いではなく、「pair review」と誤解しているのが明白だ。
「ピア(peer)」とは語源的には貴族の同じランクのもの(男爵など)をいうが、一般的には地位、職業が同じグループに属する人をいう。発音はpeep(覗く)、peel(皮を剥く)、cheek(頬)のeeと同様に「イー」発音する。絶滅危惧種eelのeeでもある。
<そもそも理化学研究所は、第三代所長の大河内正敏が軍需産業や原発製造計画の責任によりA級戦犯とされている。戦前には、世界で初めてビタミンAの分離と抽出に成功して「理研ヴィタミン」を販売することを皮切りに、理研コンツェルンと言われる広範な産業集団を形成し、陸軍の依頼を受けて原子力爆弾の研究を戦時中に行うなど、軍事を含む科学技術分野で先端的な取り組みを行っていた組織だった。
サイエンスやテクノロジーの観点で国力を図る視点に立てば、小保方問題は、日本の安全保障問題でもあるのだ。(了)>
理研所長大河内正敏子爵が「A級戦犯」というのは初耳だ。そこで以下の書を調べた。
① 宮田親平『<科学者の楽園>をつくった男』,日経ビジネス人文庫, 2001
② 朝永振一郎『科学者の自由な楽園』,岩波文庫, 2000
③ 朝日新聞東京裁判記者団『東京裁判』,朝日文庫,1995
④ 児島譲『東京裁判』,中公新書, 1971
大河内正敏は1945年12月6日、「第4次戦犯指名」にあたり、9人の1人として指名され、12月16日朝巣鴨拘置所に出頭し収容された。「極東軍事法廷」が戦犯容疑者として逮捕または出頭を求めたのは、
9月11日:第一次戦犯指名(12名)
11月19日:第二次戦犯指名(11名)
12月2日:第三次戦犯指名(59名)
12月4日:第四次戦犯指名(9名)
以上の91名である(③)。これらが罪状に応じてA~B級に区分された。
このうちA級戦犯として訴追されたのは28名で、その大部分は軍人で文官や民間人では広田弘毅、木戸孝一、松岡洋右、大川周明が主立ったところ。
大河内は東条内閣の「顧問」という肩書があったので「共同謀議」に参画した疑いで戦犯指定されたが、1946年5月3日に開始された「東京裁判」の被告になっていない。正式の裁判が始まる前の4月中に釈放されている(①,p.314)。
理研が陸軍の委託により仁科芳雄を中心に、原爆の研究をしたことは事実で、京大も海軍の委託で同様の研究をやった。ただウラニウムが乏しく、実用性のある兵器は作れなかった。よって、理研が<軍事を含む科学技術分野で先端的な取り組みを行っていた組織だった>として、「小保方問題」を「安全保障問題」に結びつけるのは詭弁である。時代が変わるとき、しばしば質の低い、このような誤った言説が横行するので、要注意である。
筆者は=<やまぐちりょう/経済評論家 1976年、東京都生まれ。東京大学卒業後、現在、某投資会社でファンドマネージャー兼起業家として活躍中。さくらフィナンシャルニュースのコラムニスト。年間100万円以上を書籍代に消費するほど、読書が趣味。>
だそうだ。
「Sakura Financial Times」というネットメディアに以下の論評がある。
2014年06月19日 09:30 JST
<【コラム 山口亮】小保方問題が明白にした日本の深刻な安全保障問題(下)>
http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140619_3
「ピア・レヴュー(peer review)」について、こう説明している。
<大学院でハードな教育を受け、運よく博士論文を書き上げても、就職するには、業績を上げ続けていく必要がある。研究費の獲得も、事後評価を含めた「ペア・レビュー」といわれる、研究者同士の相互チェックが働く仕組みが根付いている。
「ペア・レビュー」とは、研究者の研究費の配分について、同じ分野の現役の研究者が、それぞれ研究費の審査を行うと同時に、費用が割り当てられた研究成果についても、相互評価するというものだ。>
同じ言葉を2度くり返しているから、書き間違いではなく、「pair review」と誤解しているのが明白だ。
「ピア(peer)」とは語源的には貴族の同じランクのもの(男爵など)をいうが、一般的には地位、職業が同じグループに属する人をいう。発音はpeep(覗く)、peel(皮を剥く)、cheek(頬)のeeと同様に「イー」発音する。絶滅危惧種eelのeeでもある。
<そもそも理化学研究所は、第三代所長の大河内正敏が軍需産業や原発製造計画の責任によりA級戦犯とされている。戦前には、世界で初めてビタミンAの分離と抽出に成功して「理研ヴィタミン」を販売することを皮切りに、理研コンツェルンと言われる広範な産業集団を形成し、陸軍の依頼を受けて原子力爆弾の研究を戦時中に行うなど、軍事を含む科学技術分野で先端的な取り組みを行っていた組織だった。
サイエンスやテクノロジーの観点で国力を図る視点に立てば、小保方問題は、日本の安全保障問題でもあるのだ。(了)>
理研所長大河内正敏子爵が「A級戦犯」というのは初耳だ。そこで以下の書を調べた。
① 宮田親平『<科学者の楽園>をつくった男』,日経ビジネス人文庫, 2001
② 朝永振一郎『科学者の自由な楽園』,岩波文庫, 2000
③ 朝日新聞東京裁判記者団『東京裁判』,朝日文庫,1995
④ 児島譲『東京裁判』,中公新書, 1971
大河内正敏は1945年12月6日、「第4次戦犯指名」にあたり、9人の1人として指名され、12月16日朝巣鴨拘置所に出頭し収容された。「極東軍事法廷」が戦犯容疑者として逮捕または出頭を求めたのは、
9月11日:第一次戦犯指名(12名)
11月19日:第二次戦犯指名(11名)
12月2日:第三次戦犯指名(59名)
12月4日:第四次戦犯指名(9名)
以上の91名である(③)。これらが罪状に応じてA~B級に区分された。
このうちA級戦犯として訴追されたのは28名で、その大部分は軍人で文官や民間人では広田弘毅、木戸孝一、松岡洋右、大川周明が主立ったところ。
大河内は東条内閣の「顧問」という肩書があったので「共同謀議」に参画した疑いで戦犯指定されたが、1946年5月3日に開始された「東京裁判」の被告になっていない。正式の裁判が始まる前の4月中に釈放されている(①,p.314)。
理研が陸軍の委託により仁科芳雄を中心に、原爆の研究をしたことは事実で、京大も海軍の委託で同様の研究をやった。ただウラニウムが乏しく、実用性のある兵器は作れなかった。よって、理研が<軍事を含む科学技術分野で先端的な取り組みを行っていた組織だった>として、「小保方問題」を「安全保障問題」に結びつけるのは詭弁である。時代が変わるとき、しばしば質の低い、このような誤った言説が横行するので、要注意である。
筆者は=<やまぐちりょう/経済評論家 1976年、東京都生まれ。東京大学卒業後、現在、某投資会社でファンドマネージャー兼起業家として活躍中。さくらフィナンシャルニュースのコラムニスト。年間100万円以上を書籍代に消費するほど、読書が趣味。>
だそうだ。
戦前の理研の研究まで遡って追及するコラムニストは目を引きますね。成人した子供の犯罪をその親の責任問題としてそのまた親へ親へと遡る感じでしょうか。
偽札犯と同類の小保方氏にチャンスを与える理研の判断は政治的な圧力以外に民事訴訟の裁判官的な思考の様に思います。学歴の無いブルーカラー人生の私が考える稚拙な想像ですがご容赦ください。民事事件では原告被告両者が嘘をついた場合の罰則が実質皆無で、裁判前に真実を話す宣誓をしても結局は嘘をつくのが上手な側に軍配が上がります。証拠の多さより、巧みな嘘と社会的地位が勝訴の決め手になる場合もあります。数ヶ月前にSTAP実験成功と発表した理研としては裁判前に実験室で検証しておきたい立場なのかもしれません。
多くの民事訴訟の場では金持ちや権力者が勝ちます。裁判官自体が権力者(法曹の先輩)に融通を利かせることは常の様子です。(絶望の裁判所)
理研は資金はたっぷりあるので、国民の税金を検証実験と裁判どちらに使うか、なのでしょうか、、、。もとより小保方氏は気が狂っていますが、小保方氏側の弁護士の人間性を疑います。
生活にゆとりのない貧乏人の場合なら弁護士料金以外の証拠資料などの経費も重荷です。裁判で認めてもらう為に貧乏人は昼夜働き疲労困憊、経済的にも困窮から抜け出せない。そこに法廷で悪賢い者の勝訴にされては堪りません。社会的地位のある者は地位を守る為に小保方氏のように全身全霊で嘘つきになるものですが、若山教授は真相を説明する姿勢でおられるのでそこは評価したいと思いました。若山教授は語っていない真実があったとしても追々言及してくださることを期待します。
セルシード株の人達、表に出てきませんね。1人は入院中ですか、コメント程度は出せると思いますが。
私は東大ではなくラーメン大学に行って良かったと思っています。植物販売や農作業に従事しフラワーアレンジメントなどもする多彩な仕事はご飯も美味しいし生きていて楽しいです。給料のみ残念です(*´∀`*)。
湯川さんの文章を引用しよう(『知魚楽』)。
二人が橋の上に来かかった時に、荘子が言った。「魚が水面にでて、ゆうゆうとおよいでいる。あれが魚の楽しみというものだ」 すると恵子は、たちまち反論した。「君は魚じゃない。魚の楽しみがわかるはずがないじゃないか」 荘子が言うには、「君は僕じゃない。僕に魚の楽しみが分からないということが、どうしてわかるのか」 恵子はここぞと言った。「僕は君でない。だから、もちろん君のことはわからない。君は魚ではない。だから君には魚の楽しみがわからない。どうだ、僕の論法は完全無欠だろう」 そこで荘子は答えた。「ひとつ、議論の根元にたちもどって見ようじゃないか。君が僕に『君にどうして魚の楽しみがわかるか』ときいた時には、すでに君は僕に魚の楽しみがわかるかどうかを知っていた。僕は橋の上で魚の楽しみがわかったのだ」
湯川さんはこの話を喩えとして、科学の合理性と実証性について話を進められる。科学者のものの考え方について「実証されていない物事は一切信じない」立場と「存在しないことが実証されていないもの、起り得ないことが証明されていないことは、どれも排除しない」立場の両極端を設定し、誰しもが2つの両極端の間のどこかの立ち位置にあると説く。
STAP細胞が1月末に発表されてから、この話が幾度となく頭の中を去来した。この事件に当てはめて考えるならば、STAPなど存在しないという難波先生のような姿勢(今やほぼ全ての科学者も同じ結論に達していると思う)が恵子、「STAP現象」はあるかも知れないという姿勢が荘子に対応すると思う。
発表当初には、多くの科学者は荘子と恵子の立場で揺れ動いたのではないだろうか?「あるかも知れない」「いや、あり得ない」「本当なら凄い」「でも何かおかしい」STAP論文は結果的には、博論から不正行為を重ねてきた筆頭著者の完全な捏造作品であった訳だが、少し残念な気持ちもある。科学に対するあり方として、私は荘子のような心の持ち様に惹かれる。今後も、一見常識ではあり得ないようなことが発表された時に、しっかりと精査する姿勢とともに、頭ごなしに否定をしない心を持ち続けたいと思う。
また、研究に関して、コンプライアンスの徹底、研究進捗の管理等、議論が喧しくなっている。こうした議論が起きる事自体が、この国の科学の成熟を示していて大変結構な事だが、形式のみが立派になって中身が空っぽになってしまわない事を願う。
個人的には、規則に縛られず牧歌的に知的好奇心のままに追求するような研究こそが、荘子的でよき研究であると思っている。(『純理学部的発想』。竹市先生のように純理学部的人間が理研CDBのような組織の長に就いてしまったのが悲劇の一因かもしれない。というか、CDBが応用偏重主義に変質してしまったことが、というべきか。)