ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【入眠時幻覚】難波先生より

2014-11-10 18:55:38 | 難波紘二先生
【入眠時幻覚】
 かつての同僚で、睡眠の科学が専門の堀忠雄さんによると、多くの人は入眠時に幻覚を見るが、翌朝まで覚えていないのだそうだ。
 堀忠雄:「快適睡眠のすすめ」(岩波新書, 2000)

 昨11/3の深夜、入浴後にマイスリーを1錠呑み、ベッドで曾野綾子と近藤誠の対談本『野垂れ死にの覚悟』(KKベストセラーズ, 2014/6)を読んでいたら、二人のやりとりで安らぎ感が生まれ、まぶたが重くなってきた。
 山田風太郎は、夕方5時になったら飲み始め、夕食して床に入り、夜中に目が覚めたら起きて朝まで執筆してまた眠り、午後にまた起きるという二重サイクルを過ごしていた。眠りにつくには、若くして死んだ母親が生きていた故郷、兵庫県但馬の原風景に思いをはせるとよい、と随筆に書いている。
 私もその「原風景」を想起して眠りに至ることがあるが、時間がかかるので睡眠薬を使用している。
 で、昨夜はなんと明らかな「入眠時幻覚」が出た。スタンドのスイッチを切ったとたんに、閉じたまぶたの裏に、豆電球のような光点が多数、視野を取り巻くように現れ、それらが点滅しながら、丸く右回転を始めたのだ。回転のスピードは次第に速くなる。LEDのように明るく、まるで中心の闇に引き込まれそうな感覚がある。
 「ああ、これは入眠時幻覚だな」と思いながら眠りについた。

 起きたときノートには書かないが、ちゃんと覚えていた。明日は忘れるかも知れないが、今は覚えている。
 今まで、瞼を閉じているのに寝室の天井や壁が見える、という現象には気づいていたが、これが「幻覚」という認識がなかった。目を閉じる前の光景が再現されているだけ、と考えていたのだ。
 「明晰夢としての入眠時幻覚」を見たのは、これが初めてだ。
 恐怖感はなかった。米映画「ソイレントグリーン」のラストに、主人公がドーム状の部屋の中央にあるベッドに横たわり、天井に映し出された美しい風景を眺め、大音量の美しい音楽を聴きながら安楽死するというシーンが出てくるが、あれによく似ていた。
 これで不眠恐怖症がなくなり、「眠る楽しみ」が増えたように感じる。
 母は「寝たと餅が換えられりょうか…」といいながら床に就いていた。あの言葉の意味がやっとわかった。

 実のところ、今日はこの「発見」で心が浮かれている。今朝は気温が3度で屋根に霜が降りていたのに、秋晴れの陽光でトンボが喜んで日向ぼっこをしている。
  「肩に来て ひと懐かしや 赤とんぼ」(夏目漱石)
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