ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【2010年代<血液型と病気リスク論>の登場】難波先生より

2016-04-04 16:33:44 | 難波紘二先生
【2010年代<血液型と病気リスク論>の登場】
◆永田宏の「血液型と病気のリスク」論
 最近「血液型と性格は関係ないが、病気の罹りやすさと関係がある」という論者が出てきました。『血液型で分かる、なりやすい病気・なりにくい病気』などの著者永田宏(長浜バイオ大学教授)です。彼は1959年生まれ、筑波大卒で、同大学院理工学修士をへて東京医科歯科大大学院で「医学博士号」をもらっています。
 勤務先の長浜バイオ大学は1学部(バイオサイエンス学部)3学科(バイオサイエンス学科、アニマル・バイオサイエンス学科、コンピュータ・バイオサイエンス学科)だけの構成で、全学部で25人いる教授のうち「医学博士」の所持者は6人にすぎません。「コンピュータ・バイオサイエンス学科」の学科長永田宏氏は専門が「医療情報学、医療経済学」となっています。
 彼は『血液型で分かる病気のリスク』(幻冬社,2014)というような本だけでなく、『貧乏人は医者にかかるな!』(集英社新書、2007)、『命の値段が安すぎる:医療の貧困』(ちくま新書、2009)、『バカ学生を医者にするな!』(毎日新聞出版、2010)、『実はすごい町医者の見つけ方:病院ランキングではわからない』(講談社+α文庫、2013)というような医療本も書いています。ただタイトルからわかるように、首尾一貫した主張はなく、刹那的に本を書いているようです。
 永田の「血液型と病気の関連性」の説は、簡略のために帯に書いてある文言を取り上げます。「胃がんのリスクが高いA型。ピロリ菌に弱いO型」(講談社ブルーバックス)、「A型→胃がん、B型→すい臟がん、O型→ピロリ菌に要注意、AB型→血栓症リスクはO型の約10倍!」とあります。
 いずれも文献を明示しないで「相対リスク」(ABO各型を比べた場合の病気への罹りやすさ。いずれも規準とする血液型での発症率を1.0としそれに対する比率で示す)のみを示したものです。その範囲が0.80〜1.30なので、「有意差」があるかどうかもはっきりしない数値です。
 文字数にゆとりがないので、内容には立ち入りませんが、戦前に心理学者古川竹二に対して京大医学部の金関丈夫が突きつけた疑問がそのまま当てはまると思います。「もしABO血液型が特定の病気への罹りやすさを決定しているのなら、なぜそれらの病気はメンデルの法則に従い、遺伝性疾患として現れないのか?」。ABO式が病気の罹りやすさを決めているとすれば、新たな就職、結婚差別を生むことにもつながりかねません。
 だが安心してください。かつて1970~80年に起こった「第二次血液型ブーム」の終焉を知っている、竹内久美子、藤田紘一郎や永田宏などは、現在の高齢者はもう「血液型と性格の関連」を信じていないのを知っており、それで高齢化社会になった現在、新たに「血液型・病気相関論」を唱えているのだと筆者は考えています。4つに分かれる「ABO式血液型」が「性格・相性と関係する」といっても信じてもらえないが、「病気と関係する」と言われればお年寄りは興味をもってくれるかも知れません。
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