ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【根底にある「売らんかな主義」】難波先生より

2016-04-04 16:36:10 | 難波紘二先生
【根底にある「売らんかな主義」】
 前回に、戦前の血液型研究者のひとり守安直孝が、「血液型・気質相関」論ブームについて、「現代人に迎合された一つの偉大なる錯覚である」と1933年に述べたことを紹介しました1-3)。当時は血液型と「気質」との間に関係があるとする古川説が流行したのですが、戦後はこれが血液型と「相性」、血液型と「性格」、「病気」に名前を変えただけで、2回にわたりブームを繰り返しています。
 守安が指摘した「偉大なる錯覚」は、現在も牢固として存在しています。それがテレビドラマ、娯楽小説、テレビゲーム、神社のお神籤などにまで血液型が登場する原因でしょう。血液型を扱えば売れるのですから、その「現代人に迎合するもの」が視聴率を稼ぎ、本の販売部数を伸ばすのに何より手っ取り早いのです。第二次血液型ブームで活躍した能見親子や鈴木芳正の商法がまさにそうでした。
 現在の第三次ブームにかかわっている、竹内や藤田や永田にも同じことがいえます。1990年代に急速にパソコンとケータイが普及し始め、それとともに本が売れなくなってきました。1日の時間の長さは誰も平等ですから、テレビとIT機器に時間を取られれば読書時間は減ります。大型小売店の普及もあって個人書店数は激減しています。そこでどの出版社も駅のキオスクなどで気軽に買える新書や文庫の分野に進出しています。いわゆる「新書戦争」、「文庫戦争」です。
 血液型を扱えば本が売れるのは、血液型(多くの場合、読者はABO型だけを問題にしている)は遺伝的に決まっているもので、自分の力ではどうしようもない。だから自分の性格や気性は「しかたがない」となぐさめてくれるからです。
 こうした「現代人に迎合する」商法には、科学者の肩書きがある「教祖」が必要です。ある宗教団体では、教祖の本を売るのが重要な宗教活動になっています。不況の出版界にとって、「血液教徒」向けに面白い本を書いてくれる、竹内久美子や藤田紘一郎や永田宏は「教祖」として貴重な存在なのです。
 作家の森村誠一は『悪魔の飽食:第731部隊』(1981)という本を出し、ベストセラーになりました。後で、写真の取り違えなど、ずいぶん多くの間違いがあることが指摘されました。しかし、最近の『60歳で小説家になる』という本に、彼が書いているところによると、一旦ファンができてしまうと、本を出すたびに「追っかけ」で買ってくれるので、大ベストセラーにならなくてもコンスタントに収入があり、十分食っていけるそうです。性懲りもなく血液型本を出している、竹内女史や藤田氏にも同じことが言えそうです。
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