ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【米UNOSのTOD登録】難波先生より

2018-01-19 15:12:58 | 修復腎移植
【米UNOSのTOD登録】うれしいニュースがある。「病腎移植」事件の時、唯一好意的に報道してくれた東京新聞の片山夏子記者がこの1月から同紙「こちら特報部」に復帰したそうだ。

 あの時「毎日」の「記者の目」欄で本社「科学環境部」の女性記者が「病腎移植批判」の論陣を張った。それに対して、同社愛媛・松山支局の津久井記者が同じく「記者の目」で「万波擁護」の反論を掲載した。勇気がいっただろう。問題の大場あい記者は「社会福祉学部」の卒業で、医学ことにがんの病理学に関する知識はなかった。東京本社でインタビューを受けたのでよく知っている。今「毎日」では科学環境部と医療福祉部は別部になっている。

 現地取材をしないで書かれた本社記事に、現地の記者が反論する。これは津久井記者が正しいと思った。
 私は2006/11に「病腎移植事件」が起きた時、全紙を購入し、この事例の病理学的な問題点を検討し、「この治療法は間違っていない」と結論した。その意見を地元紙「中国」にコラムとして投稿した。
その後、国立癌センターの腫瘍内科の幹部に電話し、意見を聞いた。彼から「小径腎がんを切除して移植に使っても移ることはない。ただ私にはこの意見を公開で述べる勇気がない」という回答を引き出し、自分の信念と覚悟を固めた。
 その後の調査で、すでに海外では100例以上の病腎(修復腎)移植例が報告されているのを知った。(がんが移った例は1例もない)

米国の臓器移植ネットワーク(UNOS)が2016年から「治療的臓器移植(Therapeutic Organ Transplantation=TOT)を認め、すでに登録されている肝臓ドミノ移植と並んで病気の腎移植についても、登録事業を始めた。
 フロリダ大学移植外科からユタ州の「キャニオン外科病院」に移られた藤田士朗先生から、初年度と2017年のデータが送られてきたので紹介する。藤田先生自身もユタで「治療的腎移植」を始められたそうだ。
 UNOSデータによると、
2016年:2件(ドミノは10件)
2017年:12件(ドミノは8件とやや減少)
で、まだ数は少ないが件数は1年間で6倍に増えている。

肝臓のドミノ移植はよく知られている。
腎臓の「ドミノ移植」というのは、米国には「メープルシロップ病(MSD)」という腎臓病が多い。

これは常染色体の劣性(不顕性)遺伝子によるもので、アミノ酸代謝に異常があり、尿が「カエデ・シロップ」のように芳香を放ち、なめると甘い。腎臓そのものは出生時は正常だが、血液の毒素のために腎機能不全が進行する。
この腎臓を摘出して、正常腎を移植すれば、MSD患者の腎不全をしばらくは快復できる。(まだ遺伝子治療がない)
摘出したMSD腎をMSDでない患者に移植すれば、腎臓の自己回復力により腎不全から脱出できる。

日本では30万人に一人というまれな病気なので、「腎ドミノ移植」の症例を私は知らない。
「肝臓ドミノ移植」の正当性を主張する日本移植学会も「腎ドミノ移植」を知らないだろう。

さてUNOSによれば、2年間で14件の「修復腎移植」が実施・登録されたことになる。


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