チセの元に届いた一通の招待状———
それは魔術師の原石が集う”学院(カレッジ)”からのものだった。蘇る過去の記憶、やっと手に入れた居場所。悩みながらもチセは門を叩く決意をかためる。
一 学びたいんです。それが私や誰かの助けになるかもしれないから 一
大英図書館の地下……
今までとは違う魔術師達の社会。”人”との出会いと交わりが新たな扉を開いてゆく。
第1期の放送から5年といったところでしょうか。
あの圧倒的に美麗な作画は今作も健在でした。
それは実像と見間違えるような京アニクオリティや光の反射が眩しい空間を創り出すP.A.WORKSさんのそれとも少し違う。アニメの、ファンタジー世界を彩る色使いが何とも「美麗」としか言い表せないもどかしさ。
そして抑揚の少ない語り口調のヒロイン・チセの声を演じるのは種崎敦美さん。彼女の声もこの物語りにピッタリで視聴者をこの世界に誘います。
登場人物も多く、第1期の放送から年月も経過していて殆ど、ストーリーは忘れてしまっているのですが、そのキャラクターたちが登場すると「あ~。そういえばそんなキャラクターもいたな」と少し思い出したりする自分です。
物語りも魔法や魔術のファンタジーな世界観だけあって、広がっていく展開を正確に記憶に留めておくことが難しい作品でもありますね。
それでもそのミステリアスな展開と美麗な作画は、視聴者の眼を釘付けにします。
そして時折、見せてくれる漫画チックな会話と作画は一服の清涼剤。
『私はアレクサンドラ・ヒース。メディカルルームを担当してます』
『チセ・ハトリです』
『見学はお断りいたします』
エリアス『僕はその子の保護者だが』
アレクサンドラ『友人にこそ、家族にこそ、保護者にこそ言いづらいことはあります』
チセ『…あ…あの…』
『すみません!実はまだお二人共カレッジの案内が終わっていなくて…なので…』
『じゃあお二人で仲よくどうぞ』
アレクサンドラ『なるほど。妖精の薬を使って死にかけてドラゴンの呪いを吸い取って死にかけてさまよえる魔術師にお腹をえぐられて死にかけた上に目玉を交換して不死の呪いをうつされ、と』
チセ『うう…』
『無茶ね』
『あ…あはは…』
『どうにもあなたは無鉄砲みたいだけど頑張ったのね』
『!』
『でも周りの人のことも考えなさいね』
『はい…』
アレクサンドラ『魔術師と左目を交換してから自分のじゃない記憶のフラッシュバックが頻繁に起こるようになり悪意や視線、気配なんかに敏感になった…』
『体の調子自体は悪くないのよね?』
『お腹の傷が治ってからはむしろ良くて…重い物も持てるようになりました』
『正確には?』
『人間二人くらい?』
『素晴らしい!』
『そんで契約の証にっつってこれ』
『髪を織って布袋にして石炭入れて』
『綺麗だね』
ルツ『俺にバカだのなんだの言ってたやつがほだされたのか』
ウィスプ『まさか。お前みたいに惚れっぽいわけじゃねえよ』
『俺はこいつといると気分いいしなかなか楽しい。いい気分の礼にちょっとだけこいつを守ってやんのさ。つまり何もかもが対等だ』
『お前らみたいに安易に命捧げたりつなげたりしてねえからな』
『うっ。安易…』
チセ『あの…エリアスの所に行きたいんですがどの部屋かご存じないですか?』
リアン『エインズワース先生なら…』
『先程引きずられていくのを見たが』
『あ…』
OPテーマは第1期も担当したJUNNAさんによる、このアニメの世界観にピッタリな楽曲。EDテーマも視聴を終えた自分たちの耳に魅惑的に届けられる楽曲に仕上がっているようです。
ストーリーが呑み込めないような展開の速さと情報量の多さには少しばかりの苦労はありますが、それらを差し引いても余りある美麗な作画と主人公・チセの成長の物語り。
1クールで終わらせるのは勿体無い。1期同様、2クール作品であることを望みます。魅力的なキャラクターたちとチセの行く末に目が離せません。