かいーの

誘拐されて縛られてトランクに詰め込まれた時の跡でもなければ、天井からぶら下げられてムチと蝋燭でぐへへへ、な跡でもない。
靴下のゴムにかぶれたのだ。
皮膚が弱いばかりでなく『忍耐力』も弱いので、我慢しきれず掻き毟っていつも傷になってしまう。
パンツ・ブラ・パジャマのズボンなどあらゆるゴムにかぶれがちなのだが、一番の強敵は靴下のゴム。必ず痒くなる靴下と、全く問題ない靴下とがあるので、どうも相性の当たり外れがあるようだ。だから新品の靴下を履く時はいつもドキドキハァハァ、ロシアンルーレット気分。今回もおニューの靴下をおろした途端、この有様だ。

それにしても、ついつい掻いてしまうのは、一人で家に居るからなのだと思う。
他人の目を意識するような環境、例えば職場であれば、『ふと気付くと一心不乱にばりぼり掻き毟っている』という事態にはなるまい。
とはいえ、痒みに耐えながら仕事をする、というのも大変辛そうである。
痒さを我慢していても仕事に支障をきたさないで済む職業、って存在するんだろうか。

寿司屋　→　痒みを堪えるあまりネタを握りつぶす
大工　→　痒みで足元がふらついて屋根から落ちる
エレベーターガール　→　痒みで全階通過
タクシー運転手　→　痒みで乗車拒否
パイロット　→　痒みで墜落
警官　→　痒みで乱射
やくざ　→　同上
美容師　→　痒みでめった切り
宅配ピザのお兄さん　→　痒みで届けない
アナウンサー　→　喋らない
教師　→　教えない
漁師　→　釣らない
農家　→　植えない
M's Barマスター　→　ろくなこと考えない
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結論　→　痒いものは痒い