古ネタシリーズ2:こぉふぃ

珈琲豆が切れたので、お気に入りの珈琲店さわやこぉふぃへ。いつもその時々の気分で豆を選ぶのだが、今日は『さわや夏』というブレンドにしてみた。『えーと、「さわや夏のブレンド」を200gください』。ががががが、と業務用ミルで挽かれる豆の音。ぷーん、とたちまち店内に立ちのぼる珈琲のかほり。挽き終えた粉を、巨大な漏斗を使って袋詰めしながら、おかみさんが静かに口を開く。『…屋号の「さわや」に夏という字を合わせて、「さわやかブレンド」と読むんです・・・「さわやなつのブレンド」ではなく…』。わしに恥をかかせないよう、実にさりげなく、実に淡々と、独り言のように。『いえね、「さわや夏」は夏だけの販売名でしてね、それ以外の季節は香りという字をあてて「さわや香」で「さわやか」と読ませてるんですけどね…』などと、おかみさんの温かいフォローは延々と続く。いいえいいんです、もういいんですよ、おかみさん。お心遣いはたいへん嬉しいのです。嬉しいのですが。フォローしてくださればくださるほど、イタイ。自分がイタすぎる。イタすぎてイタたまれなくなりますから。あイタタタタ。それでもヘコたれず、来月も買いに訪れるであろうマスターなのでした。

…そして案の定それ以来、ジャーマンとかフレンチとか無難なブレンドを買っていたりするマスターなのでした。
コメント ( 0 ) | Trackback ( )