なな色メール 

シュタイナーの勉強会の仲間と始めたニュースレター。ブログでもその一部をご紹介していきたいと思います。

庭での遊学(ガーデン・スクール)

2009年07月01日 | いしかわようこ
(1) 猫のフン  
 
猫が庭にフンをして行って困ると、近所のMさんがフン慨していた。猫のフンはものすごく嫌な悪臭を放つし、ハエもたかって不衛生。わが家の庭にも猫のおみやげが多かったが、今はなくなった。ある物知りの奥さんから敵退治のヒントをいただいたからだ。「猫はきれい好きで体が汚れる所にはウンチをしない。乾いたやわらかい所を選ぶ。」と。そういえば軒下のサラサラ乾いた砂土の所を掘っている。ご丁寧にもウンチに砂をかけていくのは、動物ながらエライと感心していたら、ある人いわく「フン、単なる証拠隠滅よ!」
いずれにせよ、私は猫のトイレ候補地にこぶし大の石や素焼鉢を並べた。それ以来敵はやってこなくなった。また、犬のいる家にはやってこないという人もいる。先日耳にしたニュースでは、咲き終わった芝桜の上にフンをされたといって怒っていた人がいる。「ふ~ん、芝桜にねぇー。」セレブな猫さまかなぁ?
フン争は止みそうにない。

(2) 庭のギャングとレディーたち 

どこの世界にも善玉と悪玉がいるようだ。今年、庭の女主人から退去命令を出されたのはクローバー。「幸せのよつば」も混じっていたかも知れないが、猛烈な勢いでまわりの草花を覆いつくしていくのだ。「どんな根だろう?」と根元を見て仰天してしまった。たくましい太い根を堂々と張っている。さらにホック枝ゆえ節々から次々と根を出し、地面にしっかり腰を下ろして伸びていく。文字通り四方八方に・・・。小さいシャベルでは間に合わずスコップを持ってきて堀り上げる力仕事になった。
 クローバーはチッソを自家製できる豆科の有用植物で土地を耕し地面の乾燥を防ぐ役割もあるという。庭では少し困る物だけど、野原や牧場で伸び伸びと育ってほしいと思う。シロツメグサの花カンムリや首飾りを作って遊んだ少女時代が懐かしい。

クローバーと同じく、初めは庭のアンダーカバーとして喜びながら、あとで痛い目に遭った我が家の例を紹介しよう。 

①マツバギク ②ドクダミ ③スズラン ④山のスミレ etc.
 
スズランはかれんな花であるが群生すると大変な事になるので要注意。隣の奥さんは特別区を設け境界線の溝を作って侵入を防いでいるとか。山のスミレにも泣かされている。万粒のタネをとばして増殖していく。しかも姿に似合わず根は深く強い。同じスミレ科でもビオラは可。

地面を元気よくはっていく下草で私のお気に入りはココナッツタイム。最近園芸店で見かけるようになり、少し高い値段がついているが、一鉢買ってみてほしい。わが庭は三年前植えたものが庭のあちこちで地面をおおってくれている。ココナッツタイムは葉が小さく光沢があり、春ピンクのかわいい花をつける。芝桜とは異なる控えめな色合いで庭の彩となっている。近づくと香水のような芳香が漂う。クローバーと異なるのは自己主張の強さがなく、飛び石や他の草花に寄り添いながら、他を引き立てていく奥ゆかしさである。名脇役といおうか。
やはり、庭には威勢のいいおニイチャンよりレディたちが似合うようだ。

(3) 土壌改良 

今年の春、高い授業料という代価を払いましたが、貴重な勉強をした。庭の中央にそびえるヒバの後ろに一本の椿の木がある。植えて40年は経つから、樹としては50年物であろう。3メートル位の高さにはなっているが、その椿が数年前から元気がなくなりました。今年になり特に衰えが目立って、新葉さえ黄変していくのです。おかしいと思って、出入りのジロー造園士に相談したのだった。樹木が元気をなくす原因は自然災害を除いて二つあるという。一つは病虫害、もう一つは土壌不良。土壌不良とは土壌の水分や栄養分が不足している場合のことである。

ジロー氏の見立てによると、病虫害の様相はないので、土壌に原因があるとのこと。「どうすればいいのですか?」「土壌改良ですね。」「土壌改良ってどういうことをするんですか?」と話をすすめて行き、ちょっと費用がかかりそうだなぁと危惧しながらも、やってもらうことにした。ジロー氏は土質検査の特殊な器具で椿の根まで70センチ深さの土壌を採取し、それを会社に持ち帰り検査をするという。(何だか人間の血液検査みたいである。)そして10日後二人の造園士がやってきて作業を行った。この作業に注目!先ず、椿の木周辺1メートル、深さ70センチ(根が張っている深さ)の土を丸ごとごっそり取り除き、そこに会社で調整した新しい土を入れ交換したのである。鉢植えでイメージすれば古い土を捨てて新しい培養土を入れ換えることに似ていますが、コトは地植えの大きい椿が相手の作業である、二人で半日がかりの仕事だった。

私はこの作業を興味深く見ながら、今も思い巡らすのだ。普通だったら育ちの弱い樹木には、それなりの肥料を施してやるだけでいいのだ。人が薬を飲んだり手当てをするように。でも、今回重症の椿にジロー氏はそういう小手先の土壌改良をしなかった。土を丸ごと取っ替えたのだ。これには驚いた。
 
人生の歩みの途上で、それまでのやり方や、それまでの考え方で行き詰まる重大局面に立つことがある。その時、古い過去を捨てて仕切りなおしをせまられる。実は私も自分の信仰生活で、そういう場面に追いつめられ、心の土壌改良をしているところである。

 
椿の木は、今、生き生きとした若葉を伸ばしつつある。

いしかわようこ