なな色メール 

シュタイナーの勉強会の仲間と始めたニュースレター。ブログでもその一部をご紹介していきたいと思います。

心に残ることば

2011年02月01日 | いしかわようこ
ラジオ深夜便『こころの時代』特選集(上・下)から、考えさせられることば、励ましとなることばをいくつかご紹介いたします。

①作家・夏木静子さんー原因不明のひどい腰痛に死を考えた時期
 
 臨床心理学者の河合隼雄先生と電話でお話をする機会がありました。「人間は大きな変化をするときに、産みの苦しみのようなものを味わうんだ。特にクリエーティブ(創造的)な仕事をしている人には、何か成長しようとするときに苦しみが訪れる。私はそれをクリエーティブ・イルネス(病気)と呼んでいる」とおっしゃいました。「治った後」に新しい世界が開けるかもしれません。引退をかけるつもりで真剣に闘いなさい」と、励ましていただきました。

失敗・挫折・行きづまり(問題の発生)→悩み苦しむ(模索・苦悩)→光がさす・解決(心の成長)
「苦しみから歓喜へ」私たち人間の成長発達のパターンのようです。「クリエーティブ・イルネス」とはいい表現ですね。

②エッセイスト・大石邦子さん
 22才の時バス事故に遭い、半身マヒの身になり、不治の宣告を受けた時期

 私は絶望の中で投げやりになって、もうこれ以上ない冷たい声で母に当たりました。
「私の人生なんてもうすべて終わりよ!」
叫びました。すると、そんな私に、母は涙ぐみながら言いました。
「何もかもすべて終わりということは、何もかもすべてこれから新しく始まるということでもあるでしょう。」
「何が始まるの?こんな体に何が始まるの?」
 私は震えるような怒りの中で、頭が破裂しそうでした。でも、新しい日々がまた始まるという母の言葉は真実でした。」


 地球村代表の高木善之さんもオートバイ事故で全身骨折。臨死体験と苦しみの中から大きく変身してゆきました。

③詩人・画家・老子研究者 加島祥造さん

老子の思想をわかりやすく説明される対談の途中で

―東京のあの大空襲(45.3.10)で焼け野原になってなにもなくなりましたがという問いの答え―
 持っているものを一度失ったことによって新しい気持ちになったと思うよ。持っているものに頼って生きている社会というものは、どうしても考え方が迫嬰的になる。国家でも、個人でも、失う経験から、次の新生面に転じるんだ。失うということは、そこに新しいものが入ってくる余地が生まれるということだよ。
 東京という都市が戦後これだけ大きくなったのは、一度何もかも失ったからだ。地主が土地を手放したことで、この国土にはエネルギーが満ちたんだよ。
―捨ててこそ、という言葉がありますが(問い)
 捨てるというより、なくなってこそだね。人間って欲望の塊だから、なかなか捨てることはできないよ(笑)。でもなくなってもいいという気持ちでいることだよ。


 物をいっぱいためこんで片付けることができない友人がいます。物を手放すことができないということは新しいものが入ってくるスペースがない。体でも心でも便秘状態はよくありませんね。

NHKラジオ「こころの時代」は素晴らしい番組です。ただ時間帯が朝4時から5時。こんな時間でもリスナーは多いそうです。幸い収録テキストが発行されています。十人十様の人生体験はどれも光っていて感動します。

◎「今日われ生きてあり」「本日、われまだ生きてあるなり」
 (ある特攻隊員の日記の冒頭に、毎日くりかえされたことば)
◎「紙碑」(長谷川伸氏)
 「石に彫ってもだめだよ。銅に彫ってもだめだよ。いちばんいいのは、紙に彫ることなんだ。ただし神坂くん、いいものを書かないとね。」


「なな色メール」も私たちのささやかな紙碑にしたいものですね。
特攻隊の記録を小説化した神坂次郎さんはこう言っておられます。

「写経をするように、原稿用紙のます目に一点一画彫り込むような思いで死んでいった若者一人一人の名前を書きました。」

手書きしかできない私ですが、せめて魂のにじむことばを綴りたいものだと改めて思いました。                       (2011.1.10記)
いしかわようこ                          


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1 コメント

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「心に残ることば」を紹介いただいて嬉しく思います。 (くどうせいこ)
2011-09-19 23:00:18
「こころの時代」が放送されている時間はまだ寝ていますが、こんな素晴らしいメッセージが送られているとは知りませんでした。
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