旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

アニシナベ族のレイ

2009-07-25 18:44:59 | 最南端
22歳の時でアメリカ先住民の存在を知ってから、僕なりにたくさんの事を学んできたつもりだ。
少なくとも僕には知りたいことがたくさんあったし、知る必要があったのかもしれない。

レイムディアーやパパラギなどの本を初めの頃に読んだが、あそこに出てくる
「インディアンは、白人は」という言葉。
インディアンが何であるのか僕には長い時間わからなかった。

アメリカ横断中に一人、カナダ人の友人ができた。
カナダのアニシナベ族、とかアナシナベ族とか日本語では書かれると思うが
そのアナシナベ族のレイと僕はいつの間にか話をするようになっていた。
彼は一時期、世界最速だったバイクが日本製で僕の事を「Ninja」と呼ぶ。

彼は無意味に明るい人にはあまり近づかないし、コミュニケーションを自らとろうとしない人間で、一人でいることが多かった。
そこが当時の僕と似ていたのかもしれない。
たくさん参加していた日本人で彼とまともに話をしたのは多分、僕ぐらいだろう。

そんな彼が珍しく人前でしゃべることがあった。
昔の悪かった頃の話やドラッグの話。
そして「聖書を読んでいてキリストが何者かわかった。」と彼は言った。

でも、彼はキリストが何者なのかみなの前では話さず、誰もそれについて
質問する事は無かった。

テネシー州だったと思うが、そこのスモーキーマウンテンで、大勢人が集まって歌や踊りをしている場所から離れ、僕はレイと二人で焚き火をした。

彼は「Ninja、あのノイズをとめろ。」と言った。

僕は「キリストが何者かわかったって?」

彼 「ああ、わかった。」

僕 「インディアンだと思ってるんだろ?」

彼 「ああ、そうだ。」

それは僕がインディアンであるということが、どういうことなのかを
確信した時だった。

最近、そのレイからFacebookでメールが届いた。

「 やあ、調子はどうだ? 日本にいるのかNinja! 」