『深夜特急2』マレー半島・シンガポール
『深夜特急3』インド・ネパール
沢木耕太郎
新潮文庫
旅に出たときくらい素直に旅行記を読もうと思って読んでみた。
ほとんど旅行記というものを読んだことがなかったので新鮮だった。
といっても内容はほとんどがお金をぼられたことや、食べ物の話ばかりだった。
沢木耕太郎さんが大学を出て就職し、その会社を一日で辞めたことを
旅の中で振り返るシーンがある。
僕にも同じような経験があった。
21歳で、まだ就職していたころトラックで配達しながら営業し、
毎日朝から晩まで働いていた。
2年間の思い出は仕事以外にほとんどない。
狂ったように働き、総合成績は2000人の中で9位以内だった。
その晩、お客さんで同じ歳の女の子と酒を飲みに行った。
朝7時前に出勤しなきゃいけないのに3時過ぎまで飲んで、女の子を家まで送って
車で家に着く頃には4時だった。
駐車場に入る為に左折するとき、バックミラーにパトカーが見えたがその晩は
捕まることはなかった。
また同じ女の子と酒を飲みに行ったときだった。
翌日も仕事。
僕らは4時になってもまだ居酒屋にいた。
最後に頼んだビール大ジョッキをあっという間に飲み終えて、そろそろ帰ろうと
車に乗ってはしりだす。
何故かはわからないけど、その日に警察に捕まることが僕はわかっていた。
動きだして5分もすると後ろからパトカーが『左に寄せて停まりなさい』と
早朝にもかかわらず大音量で言う。
『ちょっとスピードが出すぎてたね・・・あれ?酒臭いけど酒を飲んでるの?』
下手くそな芝居をする警察官にイラつき、隣りに座ってる女の子に『大丈夫だから・・・』
と言って車から降りる。
大丈夫のあとに『わかってたから』と言おうとも思ったがやめた。
パトカーに乗って息を計ると酒気帯び運転だった。
一応、警察官に『酒気帯びで捕まると仕事がなくなるんですけど・・・』
と言ってみたが見逃してはくれなかった。
女の子にタクシー代を渡して帰らせ、僕は代行で家に帰り上司に連絡をして
その日のうちに会社を辞めた。
それからしばらくして僕の初めての海外一人旅がはじまったわけだ。
沢木耕太郎さんは会社を一日で辞めた理由を、
『属することで何かが決まってしまうことを恐れ、回避した。
ただ、逃げたかっただけなのかもしれない』
と言っている。
僕も同じだった。
勤めていた会社の30歳の先輩からは僕の10年後が見えた。
40歳の先輩からは僕の20年後が見えたんだ。
まるで全部が決められているように感じた。
だから僕はそこから逃げた。
誰かに自分が進む方向を決められてたまるかって。
どんな方法でも自分を変えられる前に回避するべきなんだ。
僕は何も後悔していない。
『深夜特急3』インド・ネパール
沢木耕太郎
新潮文庫
旅に出たときくらい素直に旅行記を読もうと思って読んでみた。
ほとんど旅行記というものを読んだことがなかったので新鮮だった。
といっても内容はほとんどがお金をぼられたことや、食べ物の話ばかりだった。
沢木耕太郎さんが大学を出て就職し、その会社を一日で辞めたことを
旅の中で振り返るシーンがある。
僕にも同じような経験があった。
21歳で、まだ就職していたころトラックで配達しながら営業し、
毎日朝から晩まで働いていた。
2年間の思い出は仕事以外にほとんどない。
狂ったように働き、総合成績は2000人の中で9位以内だった。
その晩、お客さんで同じ歳の女の子と酒を飲みに行った。
朝7時前に出勤しなきゃいけないのに3時過ぎまで飲んで、女の子を家まで送って
車で家に着く頃には4時だった。
駐車場に入る為に左折するとき、バックミラーにパトカーが見えたがその晩は
捕まることはなかった。
また同じ女の子と酒を飲みに行ったときだった。
翌日も仕事。
僕らは4時になってもまだ居酒屋にいた。
最後に頼んだビール大ジョッキをあっという間に飲み終えて、そろそろ帰ろうと
車に乗ってはしりだす。
何故かはわからないけど、その日に警察に捕まることが僕はわかっていた。
動きだして5分もすると後ろからパトカーが『左に寄せて停まりなさい』と
早朝にもかかわらず大音量で言う。
『ちょっとスピードが出すぎてたね・・・あれ?酒臭いけど酒を飲んでるの?』
下手くそな芝居をする警察官にイラつき、隣りに座ってる女の子に『大丈夫だから・・・』
と言って車から降りる。
大丈夫のあとに『わかってたから』と言おうとも思ったがやめた。
パトカーに乗って息を計ると酒気帯び運転だった。
一応、警察官に『酒気帯びで捕まると仕事がなくなるんですけど・・・』
と言ってみたが見逃してはくれなかった。
女の子にタクシー代を渡して帰らせ、僕は代行で家に帰り上司に連絡をして
その日のうちに会社を辞めた。
それからしばらくして僕の初めての海外一人旅がはじまったわけだ。
沢木耕太郎さんは会社を一日で辞めた理由を、
『属することで何かが決まってしまうことを恐れ、回避した。
ただ、逃げたかっただけなのかもしれない』
と言っている。
僕も同じだった。
勤めていた会社の30歳の先輩からは僕の10年後が見えた。
40歳の先輩からは僕の20年後が見えたんだ。
まるで全部が決められているように感じた。
だから僕はそこから逃げた。
誰かに自分が進む方向を決められてたまるかって。
どんな方法でも自分を変えられる前に回避するべきなんだ。
僕は何も後悔していない。