皆さんの間取りを考えているとき、私たちは同時に構造計画をしています。
構造計画とは、構造計算とは違います。
構造計画とは、間取りを考えながら、無駄に梁が大きくならないように適切な位置に柱が来るようにしたり、適切な量と位置に耐力壁を配置しやすいように考える事。(間取りと同時進行で考えるのがポイント)
当然、格好良く、使いやすくが大前提ですが、より安全に、より安くも同じくらいに皆さんはご希望されているかと思います。
そのために構造計画は必要なので、ちょっと一例を。
左の図は1階の柱と2階の柱の建っている位置がずれています。
この事により、2階の柱から流れてきた力は、梁を介して、1階の柱に流して、最終的に基礎や地面に落とさなければいけません。
この時、1階に力を受け流す梁が曲がれば、住んでいる人は「なんだか傾いているな」と変な気分になります。間違って折れてしまったら、もっと大変。
だから、曲がらないように大きな梁を入れます。
一方、右の図は1階の柱と2階の柱がずれていません。
これにより、2階の柱の力は直接1階の柱に受け流せるので、梁には負担がかかりません。
ただ床を支えられればいいだけなので、大きな梁は必要ありません。
この様に仮に同じ間取りでも、柱の位置が違うだけで、梁の大きさが変わってしまい見積もりも変わってしまいます。
こういうところで余計なお金を使わないようにしたりするのが構造計画です。
最近、性能表示や長期優良住宅のおかげで、その工務店や建築士がきちんと構造計画をしているか、していないかが、誰でも見分けられるようになりました。
「お客さん、当社の家は耐震等級2(耐震等級3)の家なので、大きな梁が入っていて、とても丈夫な家ですよ」
↑ これNGワードです。
建築基準法より耐力壁が増える分、梁が大きくなる可能性は上がりますが、柱の位置が揃っていれば、梁が大きくなることは極力抑えられますし、何より梁が大きくなる原因は大きな力のせいでなく、自分の設計力のせいなので、構造をきちんと理解している人なら、大きな梁が入ることはあまり自慢したくありません。
むしろスマートな構造になった時に自慢したくなります。
この話を読んで、もっともだと思いました?
それとも、そんなことしたら自由設計じゃなくなるって思いました?
私は格好良くて、使いやすい家を目指しながらも、安全で、快適で、安い家を作りたいから、わざわざ面倒して資格を取りました。
そのための建築士です。
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