緊急事態宣言の再発令のなか、重症者数など足立区でもかつてない深刻な事態が続き、陽性判定でも自宅待機が相次ぎ、入院できない在宅死の危険性が拡大しています。
こうした中で、住民の命と暮らしを守る責務を負っている地方自治体としての足立区の役割は、これまでになく重要となっています。
日本共産党区議団は、一丸となっていのちを守り感染拡大を抑えるため、区長に緊急申し入れを行いました。その概要をお届けします。
1 情報提供と意識啓発を
2度目の緊急事態宣言に多くの方が「普段とあまりかわらない」「緊迫感がない」と感じ、夜間を除いては行動変容につながっていません。緊迫した医療現場やストレスフルで必死に対応している介護などの現場とのギャップがあります。
(1)「新型コロナからいのち・くらしをまもる」ことを最優先に、区長先頭に強力なメッセージを。
(2)区のイベントが中止になるなど人と人との接触が減っている中、区職員や管理職に生の声が届きにくくなっている。「傾聴」を意識し改善を。
(3)防災無線を使っての注意喚起の放送回数を増やし、感染者数も知らせるように。
(4)ビュー坊TVも活用し例えば「現在の感染者数は〇名。3密を避け、不要不急の外出を控えて」など、情報提供と呼びかけを。
(5)あらゆる媒体での発信を強めていただきたい。
2 PCR検査の充実を
区は、都平均よりも感染者数が多い。検査対象を従来の濃厚接触者に絞って、他は「希望や不安があれば検査する」というが、無症状の感染者を見つけ出すという姿勢に立っていない区の責任は大きい。
(1)介護施設や障害者施設等の職員・入所者等に対するPCR検査支援は、1回のみでは不充分。世田谷区のように、クラスター予防の観点から定期検査を。
(2)学校、保育園、学童保育、医療・介護施設等で感染者が発生した場合、「一人でたらローラー作戦」を。葛飾区では「1回感染者が発生したら、何回でも全員検査が受けられる」など柔軟な対応。足立区でも同様の対応を。
(3)民間事業所においても、感染者がでれば、広く行政検査を。
(4)葛飾区では感染することで重症化するおそれのある高齢者、基礎疾患がある方の不安解消を目的に、症状がなくても自己負担3000円でPCR検査を実施。足立区でも同様の制度を。
(5)国に、自治体の行う検査を全額国庫負担、医療機関の減収補填を求めて頂きたい。
3 陽性者への対応改善を
(1)入院・ホテル療養の体制がひっ迫、崩壊状態。以前は「高齢者・基礎疾患」のどちらかであれば入院できたが、今は「高齢者かつ基礎疾患」でないと入院の対象にもならず、しかもリスト化し(入院待機)、優先順位から入院。ホテル療養も、家族にエッセンシャルワーカーがいる場合などを優先。一人暮らしまたは家族全員が感染者の場合は自宅療養。これでは感染拡大を防げない。改善を。
※足立区では「陽性」者の大半が自宅待機です。
(2)自宅療養や入院調整待機が急増する中、急激に悪化し命の危険に及ぶ。パルスオキシメーターで各自が状態を管理できるよう求めてきた。区は拒否してきたが、「都が230台を提供」することに。直ちに提供をすると共に、全ての自宅待機者に貸出を。
(3)「濃厚接触者に認定されても何の連絡も来ない」という訴えが相次いでいる。とりわけ他の自治体との連携が崩壊。直ちに「他の自治体から連絡がこなくても、区として対応する」ようにし、広く知らせて。
4 保健所の体制強化を
感染拡大の状況に合わせて、検査、保護、追跡を迅速に行うため保健所体制の一層の強化を。
5 障害者、高齢者施設及び医療機関支援を
(1)昨年末実施を予算化した高齢者・障害者施設全従事者へのPCR検査助成は22660人分の予算だが、申請が146人、実績がゼロ(1/15)で、認知されていない。多くの事業所が検査を受けることでクラスターの発生を予防できる。19日に補正予算成立した「新型コロナウイルス感染症対策介護サービス事業者職員派遣助成制度」も広く認知され多くの事業者が参加して初めて成立する。「感染を抑え収束するために一丸となって取り組もう、協力を」と強力なメッセージを出して、全事業者に届くように。
(2)医療・介護・障害福祉現場は、通常でも人材不足。長引くコロナ禍でストレスフルで働くことを強いられ離職者が相次ぎ、崩壊しかねない。一方職を失う人も多く出る中、コロナ特別加算などの体制をとって、くらしと仕事の相談室等で、マッチング・斡旋を。
(3)家族が感染し「残された障害者は入院し宿泊療養」の仕組みがスタートしたが実績はゼロ。障害者が不慣れな場所で一人で療養を受けられない。自宅で療養を受けられるように、緊急対策として、訪問看護やヘルパーの要件や時間制限の緩和を。
(4)医療機関に外国人が受診し、会話が通じない中で後から「新型コロナの疑い」が明らかになったケースが。外国人が3番目に多い区として、医師が意思疎通ができるように、希望する医療機関にポケトークの導入支援を。
6 学校・保育園等の対応改善を
小中学校69校で155人の感染者、保育施設61か所で99人の感染者(1/18時点)
(1)外出自粛や人との接触を控えることが求められている下で、小中学校の三密を避けるために30~40人のクラスに加配教員や講師などを配置して臨時的に少人数単位での授業を行うとともに、保育園、幼稚園も必要な対策を。
(2)保育園等の登園自粛要請は、介護従事者など多くの分野に影響を及ぼす。現在の「保育園の自粛要請は行わない」「自主的に自粛した場合は保育料を返金」という区の対応の引き続く実施を。
(3)感染者が出て、臨時休校・休園になると、保護者は「仕事を休む」「子どもの世話が必要」などの対応に苦慮。国の「小学校休業等対応助成金」「ベビーシッター利用者支援事業」「休業支援金・給付金」など沢山の制度があるが、知られていない。「保護者の皆様へ」というわかりやすい案内をつくり、平常時から周知を。これらの支援策の殆どが、雇用主が制度を理解し申請を行わないと利用できない。広く区内事業者への周知を。
7 くらしと営業の応援を
(1)営業時間短縮が要請される飲食店などに対し、確実に事業継続される補償を行うよう国や都に。
(2)飲食店以外の他業種も深刻な影響を受けているが、何の補償もない。2回目の持続化給付金の実施を国に求めていただきたい。区としても区内事業者の営業実態を掴み、事業継続のための区独自の支援制度を直ちに創設を。
(3)最後のセーフティネットである生活保護制度は、厚労省が「国民の権利」「ためらわずに」利用することを呼びかけているが、区もこの立場で積極的な広報や相談対応、申請受理を。
(4)荒川区は、「新型コロナウイルス感染症に関する中小企業等相談窓口」を専門家常駐で開設し、国や都の施策の申請手続を支援しいる。足立区でも同様の対策を。
(5)コロナの影響から抜け出すまで家賃支援給付金の継続、3月から予定されている雇用調整助成金のコロナ特例の縮小をやめるよう国に強く働きかけを。