ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

小皇帝は小心者?

2006年08月11日 | 
『空疎な小皇帝-「石原慎太郎」という問題』斎藤貴男著(ちくま文庫)を購入。雑誌「世界」に連載されていた記事を中心にまとめた石原都知事批判本。今春、東京都現代美術館で開催されたカルチェ現代美術財団コレクション展で、またまた暴言を吐いたと聞いていたので、「空疎」というタイトルがピッタリと思って読んでみたのだ。

 ここに書かれているような暴言問題や新井将敬氏への選挙妨害事件、側近の脅し、福祉切り捨てや女性差別的な行政手法への批判は、おそらく当事者のものも含めかなりネットに出回っているし、もっと過激な批判も見受けられる。でも、無視しているのか逃げているのか、いずれに対しても都知事陣営の反応が聞けないので、この本も含め、どこか批判側の声がむなしく響くことは否めない。

 これが連載された頃は、石原首相待望論(本当に誰が待望していたのだろうか)があって、そんなことになったら危険だという危機感があったのかもしれないが、自民党総裁選が現実のものになってくれば、石原総理などもはやありえないことが分かる。たぶん政治家・石原慎太郎を信用していないのは当の自民党議員だろうし、石原新党なんて実際誰が集まるのだろうか。マスコミなどが面白そうだから出ろ出ろと煽っていたが、確かに新党でも作って首相戦に立候補となれば、都知事を辞めるのだから、もしかしたら煽っていた人はそれを期待していたのかもしれない。

 それでもまだ都知事として君臨しているので、石原都知事に異議を唱える人はリコールの権利を駆使するしかあるまいが、不思議なのは、この本にも書かれていたようにテレビも新聞も都知事の暴言や行政手腕をまともに検証しようとしないことだろう。僕は都民ではないので、1票を行使することはできないが、リコールを呼びかけるサイトはあるにしても、反石原陣営を結集する強力な動きはないのだろうか。

 それにしても石原都政とは何をしてきたのだろうか。カジノはどうした。東京オリンピックの招致だって。景気のよさそうな話ばかりだが、都民の生活はどうなったの。それでも、都民は支持しているのだろうか。身近なところで新宿歌舞伎町の浄化には熱心だが、その分風俗が町田など周辺都市に分散してまわりの環境が悪くなったとか、地下に潜ってもっと危険になったとか。飲み屋のビルは閑散として店外デートを目的とした怪しいバーばかりが増えたり、襷はかけているけれど相変わらずポン引きも減らない。まあ、今の新宿区長は、石原知事になって都庁を退職した女性らしいので、ぜひ石原都知事の下でできなかった行政に思う存分手腕を振るってほしいものだ。

 とりあえず、一般の人たちが人気者といわれる小皇帝を見直すきっかけになる1冊ではあると思う。ただし、読後感はあまりよくない。もちろん作家のせいではないが。

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