1967年頃、今のテレビ朝日がまだNETといっていた時代、日曜日の朝の音楽番組に「VANミュージック・ブレイク」があった。アメリカから帰国した渡辺貞夫のクインテットがレギュラーで、アルト・サックス:渡辺貞夫、エレキギター:中牟礼貞則、ピアノ:菊地雅章、ベース:原田政長、ドラム:富樫雅彦というすごいメンバー。その頃のナベサダは、当時最新の音楽だったボサノヴァを中心に、そのリズムでスタンダードなどを演奏するスタイルだった。しかも細身のVANのスーツできめている。それが新鮮で、カッコよかった。
中学生だった僕は、ブラスバンドでトランペットを吹いていて、もっぱらハーブ・アルバート&ティファナブラスに憧れ、先輩と二人でコピーしたりしていた。ところが、この番組でナベサダの演奏を聴いて、すっかりジャズの魅力にとりつかれてしまったわけで、僕にとって忘れがたい番組なのだ。ナベサダの演奏以外、番組の内容はよくおぼえていないが、前田武彦が司会、VANの社長・石津謙介もよく出演していた音楽バラエティだったのではないか。とにかくナベサダのジャズという自在な演奏、背中を丸めてピアノの鍵盤に頭を突っ込むようにして弾くプーさんこと菊地雅章の姿が印象的だった。最初に買ったLPもタクトのナベサダのアルバム(「ジャズサンバ」だったはず)だったが、高校の文化祭で盗まれたのが今でも悔しい。
番組でよく演奏していたのがナベサダ作曲のボサノヴァ「白い波」。この曲は、ヒデとロザンナの出門英が、ヒデとロザンナとしてデビューする前、ユキとヒデだったか、そんなデュオで、ジョヴィンの「ウェイヴ」に似たこの曲を歌っていて、そのドーナッツ盤は、僕のかなりお気に入りだった。これも件の文化祭で盗まれてしまった。ちなみにユキは、後に「悲しみはかけ足でやってくる」をヒットさせたアン真理子。インストの「白い波」は、ナベサダの何かのアルバムにも入っていたと思うが、「ユキとヒデ」盤は、はたしてあるのだろうか。
ナベサダのバンドにも在籍していたケイ赤城トリオ「リキッド・ブルー」。昨年末のアルバムだが、最近、月刊「プレイボーイ」のジャズ大賞になっていたので買ってみた。ケイ赤城は、菊地成孔のマイルス研究書「M/A」で、マイルスバンドでの体験を語っているが、そのインタビューがとても好感がもてたので、トリオの演奏もぜひ聴きたいと思っていたのだ。エヴァンス風なユーロ・ピアノ・トリオばかり聴いていた耳には、かなり新鮮に聞こえた。トリオのインタープレイ(このドラムとベースはすごい)、各人のテクニックがすばらしいが、「ブルー・イン・グリーン」の最初の一音には意表をつかれた。混沌、カオスといった表現がぴったりの演奏で、これまで聴いたことのない「ブルー・イン・グリーン」だ。1曲目の美しい「スマイル・イン・ザ・レイン」など、どれも刺激的だがどこかなつかしく、噛み締めるほど味の出るアルバムなのだった。
中学生だった僕は、ブラスバンドでトランペットを吹いていて、もっぱらハーブ・アルバート&ティファナブラスに憧れ、先輩と二人でコピーしたりしていた。ところが、この番組でナベサダの演奏を聴いて、すっかりジャズの魅力にとりつかれてしまったわけで、僕にとって忘れがたい番組なのだ。ナベサダの演奏以外、番組の内容はよくおぼえていないが、前田武彦が司会、VANの社長・石津謙介もよく出演していた音楽バラエティだったのではないか。とにかくナベサダのジャズという自在な演奏、背中を丸めてピアノの鍵盤に頭を突っ込むようにして弾くプーさんこと菊地雅章の姿が印象的だった。最初に買ったLPもタクトのナベサダのアルバム(「ジャズサンバ」だったはず)だったが、高校の文化祭で盗まれたのが今でも悔しい。
番組でよく演奏していたのがナベサダ作曲のボサノヴァ「白い波」。この曲は、ヒデとロザンナの出門英が、ヒデとロザンナとしてデビューする前、ユキとヒデだったか、そんなデュオで、ジョヴィンの「ウェイヴ」に似たこの曲を歌っていて、そのドーナッツ盤は、僕のかなりお気に入りだった。これも件の文化祭で盗まれてしまった。ちなみにユキは、後に「悲しみはかけ足でやってくる」をヒットさせたアン真理子。インストの「白い波」は、ナベサダの何かのアルバムにも入っていたと思うが、「ユキとヒデ」盤は、はたしてあるのだろうか。
ナベサダのバンドにも在籍していたケイ赤城トリオ「リキッド・ブルー」。昨年末のアルバムだが、最近、月刊「プレイボーイ」のジャズ大賞になっていたので買ってみた。ケイ赤城は、菊地成孔のマイルス研究書「M/A」で、マイルスバンドでの体験を語っているが、そのインタビューがとても好感がもてたので、トリオの演奏もぜひ聴きたいと思っていたのだ。エヴァンス風なユーロ・ピアノ・トリオばかり聴いていた耳には、かなり新鮮に聞こえた。トリオのインタープレイ(このドラムとベースはすごい)、各人のテクニックがすばらしいが、「ブルー・イン・グリーン」の最初の一音には意表をつかれた。混沌、カオスといった表現がぴったりの演奏で、これまで聴いたことのない「ブルー・イン・グリーン」だ。1曲目の美しい「スマイル・イン・ザ・レイン」など、どれも刺激的だがどこかなつかしく、噛み締めるほど味の出るアルバムなのだった。
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