ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

ジャズ喫茶に行こう

2005年11月10日 | 

 かつてジャズはジャズ喫茶で聴くものだった。
 ブラックコーヒーに煙草(パッケージデザインは和田誠のハイライト)を友に、ひたすらジャズに耳を傾ける。読む本はレーザーラモンHGじゃないロートレアモンの「マルドロールの詩」か「アンドレ・ブルトン集成・ナジャ」。雑談などもってのほかだ。アルティックA7とかJBLパラゴンとかの再生装置を知ったのもジャズ喫茶だったが、新譜に限らずとりあえずジャズ喫茶で聴いて、気に入ればLPを買った。東京に限らず、ちょっとした街ならどの地方にもジャズ喫茶があって、旅行に行くと義務のようにジャズ喫茶を探して行ったものだ。京都の「しあんくれーる」、一関「ベイシー」などの有名店があったっけ。
 
 平岡正明著「昭和ジャズ喫茶伝説」は60年代のジャズ喫茶を舞台にした革命と青春のバラード(艶歌)といったところだろうか。「ジャズ宣言」に始まって、平岡本はずいぶん読み、ユパンキからイ・ソンエ、エルゼッチ・カルドーソまでジャズ以外の歌い手たちをたくさん教えてもらった。この人にとってジャズ喫茶はアジトだったわけだが、僕らの世代は、もはや馬鹿かスノッブの溜まり場だったかもしれない。

 よく行ったのは通っていた大学前の黄色い扉の「フリーポート」(R大学の人しか知らないでしょう)だが、90分に一回くらいはヨーロッパ系のフリージャズがかかり、そのたびに客が入れ替わったのはご愛嬌だ。授業時間に合わせていたのか知らん。

 春にお茶の水に行ったとき「響」をたずねたらもうなかった。この本には閉店して、どこか海の近くで「響庵」として再開したと書かれていた。いまやジャズは、こじゃれたラーメン屋でもBGMにコルトレーンの「バラード」がかかっているくらいで、演出の小物と化している。ジャズレコードをちゃんと聴かせてくれるところを探して、ぜひ今度行ってみよう。

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