晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「逆説の日本史」 1 古代黎明篇 読了。

2006年09月12日 10時27分07秒 | 趣味
井沢元彦氏が週間ポストに連載したものを再構成されたものです。
「『わ』の精神と怨霊信仰で読み解く古代史最大の謎」とあるように、歴史学者が認めようとしない、資料として残っていない怨霊信仰、戦後抹殺された神話の中から日本史を考えていくというものです。

神話はもちろん勝者や為政者が自分達を正当化するために創ったものであるから、一切真実ではない。故に検証するにあたらない。ではなく、その神話が作られた背景をいろいろな傍証から探っていこうとしています。
そのようにして資料主義の歴史学者を批判しつつ、井沢氏の考察は多岐に渡り展開されていきます。

いわく、「倭」という日本の古い国名はその当時の集落の形態を表す「輪」「環」でなかったか。
卑弥呼は「日巫女」もしくは「日御子」で太陽神に仕える巫女、もしくは太陽神そのものではなかったか。
そしてそれは「天照大神」ではないか。

なかなか興味深い論が展開されていきます。
こういうの好きです。
ただ私は歴史とかにすごく疎く、素地があまりにもないので、井沢氏は「これは読み物として書いていない。」と言われていますが、私的には読み物としてすごく面白い。

怨霊信仰も早良皇太子や長屋王、菅原道真くらいは知っていたけれど、あ、聖徳太子も読んだことがあったかな。大国主命の祟りを怖れて出雲大社を建立したとか初耳。ん~、高橋克彦氏のもので出雲大社の造りの異様さを読んだことがあったから、そのへんも触れられてたかなあ。このへん、物忘れがひどくなったおかげで何度聞いても新鮮に感じられるという特典があるのかも。

確かに面白いんだけど、週刊誌に連載されていたせいか、少し文章がくどいです。
何度も同じような解説が出てくる。もう、その辺のことは分かったからさあ。みたいな。
それと今の歴史学者の考え方によほど不満があるらしく、序論で「日本の歴史学の三大欠陥」を結構紙面をさいて書いてあるにもかかわらず、本文中にも再三言及していて、かえって本職じゃないものが書いているから信用されないんじゃないかと言う不安の表れ?などと勘ぐりたくなったりして。
自分の説を補強するためにたくさんの引用文も掲載されていて、それもそのせい?

いろんな事を差っぴいても面白かったです。
次は「古代怨霊篇」聖徳太子の称号の謎です!