晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「一太郎」VS「一之新」

2006年09月28日 13時15分01秒 | 趣味
「ぬしさまへ」「だましゑ歌麿」と2作続けて時代物を読みました。
同じ謎解きでも全く味わいの違う2作です。

今日も元気に寝込んでいる大店の若旦那一太郎が妖の力を借りながら謎を解いていく「ぬしさまへ」。畠中恵著。
ぞろぞろと現れる妖達が、妙に人間臭く可愛い。
寝込んでいて動き回れない若旦那の代わりにあちこちに飛び情報を集め、我先に手柄を言い立てる。
ニコニコと情報に耳を傾け、聡明な頭脳で解決してしまう若旦那。
幼友達の窮状を救い、すすり泣く布団の謎を解きます。
「しゃばけ」で気になっていた一太郎の実兄の消息もわかり、ホッとしました。

かたや、「千にひとつの目こぼしもないので、千一」と呼ばれる堅物の南町同心仙波一之進が巨悪に立ち向かう「だましゑ歌麿」高橋克彦著。
実際の人物、歌麿・蔦屋重三郎・春郎(後の北斎)・長谷川平蔵・等などを配し、松平定信の倹約令を事件の直接の引き金として物語は進んでゆく。
背筋をぴんと伸ばし、老中であろうと命と引き換えても真実を暴こうと突き進んで行く千一。
なかなか骨太な男達が描かれています。でも、ちょっと近くにいたら怖いかなあ。

私だったら一太郎に恋心
千一のように頼りにならないし、なにしろ妖の縁続きだし、体が弱すぎていつ死ぬかもわからない。けど、そんな自分を情けないと悩みつつ、大店の若旦那でありながら庶民の暮らし向きにも真剣に目を向けている。その心根の優しさがいい感じ~。
決して千一がおこうと結婚したからじゃありませんよ。