晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「ネクロポリス」読了。

2009年03月03日 10時41分40秒 | 趣味
恩田陸著。

ええっと・・・なかなか説明が難しい本です。

アナザー・ヒルと呼ばれる運河で囲まれた螺旋状の、森に覆われた丘。
そこに「ヒガン」の時期 V.ファーの国の人々は集まる。
死者に会うために。

死者たちはそこでは実体を持ち、彼らの言葉は法的な証拠能力を持つという。

その地を始めて訪れたジュン。
研究者としてその不思議な地を検証するために。
同行している親戚達はみな死者との対面を娯楽と捉え、怖がるそぶりも見えない。

どうやらV.ファーはイギリスの文化を持ちイギリス系が大半を占めています。
そして日系が30%ほどいて、日本の文化も不思議なバランスで共存しています。
アナザー・ヒルで人々を迎える、否、死者を迎える朱色の大鳥居。

普通「ネクロポリス」と言うと墓地というイメージですが、ここは死者の通り道らしい。

そこで行われる殺人。
今年のヒガンは何かがおかしい・・・。


ネタバレ注意


まあ、盛りだくさんです。
玉子がこの国では盛んに使われているのですが(例えば「お稲荷さん」に供えられるのが油揚げではなく玉子)、玉子を使った「夜のテーブル」という占い。
大鳥居に吊るされた死体。
「血塗れジャック」
悪い風と呼ばれる、人々の耳を劈く轟音と強風。
精霊が殺人者の嘘を暴く「ガッチ」
血が飛び散る部屋から忽然と消えた黒婦人。
台所の棚から出てきた目玉。
優秀だったラインマンの女性とジュンの親戚ケントの失踪がからまり。

そして、アナザー・ヒルが歪み、さまざまな時代が融合し・・・。


これはミステリー風味のファンタジーという感じか。
なぜなら、行われた犯罪は死者によってなされています。
これはミステリーファンなら???だよね。

でも、不思議なお話大好きな私的には◎。

だって、死者がのんびりと出て来るんだよ。
血塗れジャックに殺された5人が揃って現れ、犯人について語るなんて、どこで待ち合わせしたの?って。
この島のしきたりや何かが日本の忘れかけてる文化を色濃く継いでいるところも面白い。
そして先住民のラインマンがまことに魅力的。
しなやかで物静かで強靭で。
どうやら先住民の血を引いているらしいジュン。さまざまな物を見、解決に導いて・・・いるのか?(笑) さまざまな事柄の核心に触れてしまう存在と言ったほうがいいのかも。がもう少しラインマンのように強ければなあ。

内容を分かりやすく説明するのは私には難しい。
読んでみて。というしかありません。
上下巻、一気に読めましたよ。