熊本にいる同級生から朝、電話がかかって来た。
「今度の土曜日の先生の家のカボス捥ぎに行けなくなった」と言う。
いつものように張りのあるしっかりした口調。
その後に言った言葉に耳を疑った。
「丁度その日が主人の49日なの」
「えっ!今、なんて言ったの?」聞き返した。
8月7日に会社のOB会がありそれに夫婦で参加していて
2次会のスナックでご主人がカラオケで歌ったと言う。
その直後、急に意識を失い、居合わせたナースが心臓マッサージや
AEDをしてくれたらしいが、そのまま亡くなってしまったとのこと。
まだ、お勤めをされていて、どこも悪いところはないと健康自慢を
するほど元気な人だったらしい。
死因は心筋梗塞。
気丈な彼女は張りのある声で淡々と話す。
「通帳やらマンションの名義変更やらしなければならないことがいろいろあって
結構大変なのよ」
「今度のカボス捥ぎで同級生や先生と会うのを楽しみにしていたんだけど…」
「カボス捥ぎ?それどころじゃないよ」と私の方が気が動転。
1時間近く電話で話をしたが、衝撃が大きく、まだそれを引きずっている。
なんと命の儚い事だろう。
元気だった人が妻の隣に座ったままいきなり帰らぬ人になるなんて・・・。
でも気の合う仲間に囲まれ、お酒を飲み、歌を歌い、妻の隣で
苦しまずに逝くという亡くなり方はある意味理想的な逝き方かもしれない。
しかし、早すぎだ!若すぎだ!今年古稀を迎えるという。
気丈な彼女は声を詰まらせることなく、淡々と話してくれたが
その喪失感は計り知れぬくらい大きいのではなかろうか。
ああ、なんと人の命の儚い事か・・・
しばらくうなだれて物思いにふけっていたら(落ち込んでいたら)
犬のフクが私の異変を察したのか
私の傍にやってきて、介抱するかのように私の足を舐めてくれた。
熊本の水前寺に住む友、地震の次はこんな一大事。
どうかめげずにこの最悪の事態を乗り越えてほしい。
ご主人さまのご冥福を心よりお祈りいたします。