Storia‐異人列伝

歴史に名を残す人物と時間・空間を超えて―すばらしき人たちの物語

ノルウェイの森 ー 村上春樹 

2014-06-06 23:37:40 | 音楽・芸術・文学
ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

ワタナベ君への手紙

お手紙がマメだったワタナベ君には、メールもケータイもなかった昔をしのんでお手紙をかいてみたくなりました。面倒なら、読まずに食べてね。

きょう6月6日は、70年前にノルマンジー上陸作戦が行われた日だった、とタイクツテレビがいってました。J.D.サリンジャーは自分ことをほとんどバラさないひとでしたが、あのノルマンジー作戦にも参加していたのでしたね。「再見コンバット!」 
このあいだ、村上春樹さんの訳の「フラニーとズーイ」をよんで、なつかしくなったので、ついでに野崎孝さん訳の「ナインストーリーズ」や、「大工よ、屋根の梁を・・・」なんかを読み返しました。サリンジャーは、最初にシーモアお兄ちゃんの命を絶ってしまったため、遡って説明するのもたいへんみたい。作家というのもご苦労なことだ、しみじみおもうなあ。村上さん訳の「ライ麦・・・」は、あとのお楽しみとして、じつは春樹さんのなにも読んだことがなかったので、お約束のとおり(自分にしかしてないけど)、まずは「ノルウェイの森」にいってきました。いまは「ねじまき鳥」あたりを徘徊している、というか深いカラ井戸の底でじっとしているみたいです。

すこしだけ、ノルウェイの森の近くのお話させてくださいな。ワタナベ君もギッチリ詰まった青春だったのですね。1949年のお生まれとするならば、僕の一つ上です。だからほっとするなあ。後輩ならば、なにかこうライバル心というか、出来のいい人へのやっかみというか、どうにも素直になれないのですが、生まれが少しでも上だと甘えられる気がするんです。でもよく考えればほとんど同級生ですね。全くの同じあの時代と時間をすごした、同じ空気を吸ってそれぞれの風を受けてきたわけで・・・ぼくはいまや実にさびしいボッチのこのごろですが、いまごろになってなんともすばらしい恋物語をきかせていただいて・・・もっとも30年近く前に書いて戴いたんだから、37歳のワタナベ君に向かってこのお手紙(Re:)書いてるのかなあ?・・・

むろん、あれは小説ですからワタナベ君の個人的な体験とは思いません。でも生々しさも感じてつい、ああ彼女は津田塾だななどと要らぬ想像をしてしまうのです。それにすこし濃密すぎて・・・。話飛べば、まったくの無縁な世界のように安田講堂攻防戦をボーっとテレビで観てたとき現れたのが髪の長い少女でした・・・七つの水仙、レモンツリー、パフ、500マイル、花はどこへ行ったの、こげよマイケル、全部おしえてもらった ...八月の光 もずっと借りてたな・・・一浪した同級生はこの年東大は受けられず一橋と東工大はすごい難関だったと聞きました。翌年ボクは東京郊外の学生寮に入ることができ、綿パンにスニーカーにカーディガンが大好きになった、十代の重苦しさは脱ぎ捨てたかったのかもしれません。新宿、紀伊国屋の裏手ですか・・・ジャズ喫茶、パドパウエル、ビルエバンス、マルウォルドロン、ダラーブランド・・・ミニスカートの時代、すらりとした若い足・・・ねえ、この子と?・・・だけど全くのウブで、途切れもなくなったのは、もすこしあとでしょう・・・差し支えがありすぎて・・・みんな、お手紙は焼き捨ててくれましたか?

ボクたちはビートルズ世代、もっともあの春樹さんはビートルズよりジャズのほうのようだけど。ま、ともかく数年前にはテレビを観て記録しましたよ。四人はアイドル? サイドマン - ビートルズに愛された男 あらためて「リボルバー」を思い出しました。ビートルズではなにがいちばん? ヒア・カムズ・ザ・サン、るるるる、と言ったのは、ずっとあとでTちゃん、・・・どうしてることか・・・

ワタナベ君のお話、ノルウェイの森の記憶がなんとも切ないですよね。なにか言ってあげたいけど、どうしようもないよね、ぼっちだもんね、誰でも、Nowhere Man。ラバーソウルのメロディアスなほうがリボルバーより好きだな。ミッシェル、ノーホエアマン、ジュリア、ノルウェイの森、・・そうそう、映画のこともでてくるよね、武蔵野館はどうなったやら・・・卒業、カサブランカ。サウンドオブミュージック・・・手を握っただけでドキドキが伝わってきたMちゃん・・・それにしても「I wonna hold your hand」が日本ではなんで「抱きしめたい」になるんでしょうか?

その少し前18.9歳のめまぐるしい、毎月と季節が今も鮮明にたどれるあの頃、まわりではいろんなひとが命をおとしました。2ヶ月一緒の部屋にいたD君も一年後屋上から飛び降りた、いつまでも19だ。海でおぼれたひとも感電事故でなくなったひともいた・・・そのあと20で東京にやっと出られて、それからもう40年以上もたったんですね、生きてれば、ボクみたいに、その後の面白くもあり、たいして記憶にも残らない、ながいながーい時間を持てたのでしょうに。そして、そのときどき好きだった人とも別れてゆくのでしょうか・・・いつまでたってもわかりません、だれもおしえてくれません。今夜も猫ちゃんのほっぺをなでながら、一緒に寝るのでしょうか。

ワタナベ君の読んでた本はなんだったけ。えーと、フィツジェラルドのグレイトギャツビイ、トルーマン・カポーティ、トーマスマン・・・なんてかいてありますね。「ライ麦」も出てきましたね。ずーっと一生すきなことがあるのはいいんじゃないかなあ・・・素敵だなあ、ボッチだったワタナベ君、今、どうしてますか?ボクは、ヘイジュードなどやりかけましたが、もう3ヶ月もサボって、なんでもやるけどすぐアキル、こりないのですね・・・リブート/再開処理/ねじ巻き が必要かなあ・・・

                      2014・6.6 のり坊

ワタナベ トオル君   机下

  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする