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気球の「搭載能力5トン」 (2023/02/09)

2023-02-09 12:58:50 | ニッポン放送

政府、中国の偵察気球が日本に飛来した場合「必要なら撃墜」の考え

2月4日、アメリカ本土上空に中国の偵察気球が侵入したことをめぐり、浜田防衛大臣は記者会見のなかで、日本で同様の事案があった場合に撃墜できるかを問われ、「(国民の)生命・財産を守るのに必要なことであれば実施すると思う」と述べた。

飯田)アメリカは領海のなかで撃墜したということです。

日本とアメリカに飛来した偵察気球は同じもの

青山)日米ともに、同じ気球が飛んできていると考えています。

飯田)同じもの。

青山)この間、防衛省に聞いたら「まだわかりません」という返事でしたが、防衛省はそう言うでしょう。私自身が集めた情報を総合すると、同じものを中国の大連辺りから日本やアメリカに向けて飛ばしています。

2020年に日本に飛来した際、「謎だ」とした日本政府 ~本当は中国からの偵察気球とわかっていた

青山)南米に行ってしまったものもありますが、基本的にはまず日本に飛ばし、様子を見てからアメリカに飛ばしているのです。日本は何もせずに「謎だ」と言っていました。


飯田)解明されませんでした。

青山)本当は日米ですり合わせもしているから、謎ではなく、中国のスパイ気球だとわかっていながら、当時は何もしなかった。当時の河野太郎防衛大臣は「関係ない」というような話をしていたでしょう。

飯田)そうですね。

青山)今回、浜田さんはよく言いましたよね。僭越ですが、はっきりおっしゃっていただいてよかったと思います。

中国が偵察気球を飛ばす本当の狙いとは

青山)その上で、中国の本当の狙いは何だと思いますか?

飯田)飛ばして情報を取るだけではなく、将来的には攻撃も含めて、ということですか?


青山)その通りです。地球から宇宙を眺めると、私たちが暮らしているのは対流圏という下から11キロぐらいのところですけれど、その次に中間があって、宇宙空間があります。実はその中間を、アメリカは支配できていないのです。

飯田)中間は。

青山)だから20キロぐらいの中間辺りに気球を飛ばして、そこに核弾頭も積みたいというのが中国の将来の狙いです。

宇宙空間と対流圏の中間においてアメリカを押さえるために気球を飛ばす中国

青山)宇宙空間と対流圏は米軍が支配しているのです。中国がいろいろなことを試みても、客観的に見ると米軍が圧倒的に支配しています。

飯田)宇宙空間と対流圏は。

青山)ところが、米軍がほとんど手を入れていないところがある。それが対流圏と宇宙圏の間、例えば成層圏などの中間圏、熱圏などもあります。その上もありますが、そこからアメリカを押さえつける、あるいは日米軍事同盟を押さえつける力を持ちたいと考えて、中国軍は気球を飛ばしているわけです。

気球の「搭載能力5トン」 ~小型戦術核であれば4個搭載可能

青山)国会議員として、政府に「謎の気球と言っていたのはおかしいではないですか。当時からわかっていたはずだ」ということを追及したら、思わず政府が「5トンありますから」と言ったのです。


飯田)5トン。

青山)それを聞いてひっくり返りました。なぜかと言うと、アメリカは公式に「990キロぐらい」と、1トンぐらいだと発表しているのです。

飯田)発表していますね。

青山)日米が水面下ですり合わせた結果を言っているわけですから、5トンではあまりに食い違っている。それが部会で「ポロッ」と出て、そのあともう1度よく聞いたら、ペイロードだと。

飯田)ペイロード。

青山)搭載能力のことです。気球に5トンの搭載能力がある。小さい核爆弾で1トン強ですから、小型戦術核なら4個ぐらいはぶら下げられるのです。あくまで狙いが不確かな自由落下になりますが。

飯田)4個も。

青山)米軍の手があまり及んでいない中間ゾーンにそれを飛ばされると、非常に厄介です。

アメリカが気球を機関砲ではなく、ミサイルで撃墜した本当の理由 ~中間ゾーンでも米軍は対処できることを示した

青山)なぜアメリカは、わざわざF22Aという最先端の戦闘機を出してきたのか。20キロぐらいのところを飛んでいた気球を1万7000メートルぐらいから、しかもバルカン砲でも機関砲でもなく、「サイドワインダー」というミサイルで撃墜した。もちろん、ミサイルで攻撃した方が機銃よりいいという判断もあるのですが、実際にはもう1つ理由があります。中国に向けて「たとえ中間ゾーンであっても、米軍は対処できる」と示すためです。

飯田)中国に対して。

青山)そこまで上がっていって攻撃できる戦闘機は滅多にないですから。実はそういう深い部分が、今回の気球騒ぎのなかにあったのです。

浜田防衛大臣が「必要ならば(撃墜を)実施する」と発言できたのは安保3文書を改定したから

青山)そこで日本にとってはどうなのかを、もう1度考えなければいけません。中国はアメリカにはっきりと狙いを持って飛ばす前に、日本へ飛ばしていた。それが「謎だ」で終わっていたことを考えると、浜田防衛大臣の発言が河野前防衛大臣の発言と変わったのは、個人の違いよりも、年末に安保3文書を改定し、反撃能力の保有に踏み込んだからです。

飯田)反撃能力の保有に。

青山)これは岸田総理の決断であって、それが影響して変わってきたのだと思います。

飯田)岸田総理の決断が。

青山)アメリカもトランプ政権時代に3度も(気球を)入れられているのに気が付かなかった。軍が気付いたのではなく、これは私の責任で申していますが、私が情報を集めた限りで言うと、情報機関が中国の飛ばした偵察気球であることに気付いたのです。

飯田)情報機関が。

青山)内部でアラームを鳴らしていたのです。今回はおそらく大連辺りから北に上がって、アリューシャン列島からアラスカ、カナダと降りていき、ロッキー山脈の上に出て、そこから本格活動で右斜め下に降りていった。アメリカの軍事施設をずっと見ると同時に、プレッシャーとしてペイロードが5トンある能力も見せつけながら飛んでいた。そしてバイデン大統領が決断し、被害が及ばない海に出たところで、アメリカの力を見せつける形でF22Aという最先端の戦闘機で撃墜した。

飯田)しかもミサイルで。

青山)米中の、あるいは日本を巻き込んだ深い対立、軍事対立です。情報戦であると同時に、もはや半ば直接的な軍事対立です。だから中国は興奮して言っているわけです。

民間でありながらその技術を軍で使う中国

飯田)中国は「民間だ」と言い張っていますけれども。

青山)民間ではありません。私の責任で言いますが、民間のフリをしていても、中国は技術もデュアルユースと言って、民政でありながら軍で使っているため、今回も軍です。

飯田)それにも対処していかなければならない。

青山)あの手この手でよく考えるなとは思います。



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