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皇位継承に関する有識者会議の報告書要旨 (2021/12/22)

2021-12-27 21:53:49 | 日本経済新聞

【皇位継承と皇族数の減少についての基本的な考え方】

皇位の継承という国家の基本に関わる事柄については制度的な安定性が極めて重要だ。今に至る皇位継承の歴史を振り返るとき、次世代の皇位継承者がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることには十分慎重でなければならない。現行制度の下で歩まれてきた皇族方のこれまでの人生も重く受け止めなければならない。

会議としては今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということで一致した。

悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらずかえって皇位継承を不安定化させるとも考えられる。

将来において悠仁親王殿下のご年齢やご結婚などを巡る状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないかと考える。

一方、現在、悠仁親王殿下以外の未婚の皇族が全員女性であることを踏まえると、悠仁親王殿下が皇位を継承されたときには、現行制度の下では悠仁親王殿下のほかには皇族がいらっしゃらなくなることが考えられる。会議においてはこのような事態はどうしても避けなければならないということで意見が一致した。そのためにはまずは皇位継承の問題と切り離して皇族数の確保を図ることが喫緊の課題だ。様々な方策を今のうちに考えておかなければならない。

【皇族数確保の具体的方策】

以下の3つが方策としてあるのではないかと考えるに至った。

①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する

内親王・女王は婚姻後も皇族の身分を保持することとし、婚姻後も皇族として様々な活動を行っていただくのがこの考え方だ。皇室の歴史とも整合的と考えられる。女性皇族が現在行っておられる様々な公的活動が継続的に行われていくことにつながる。

反対する考え方もある。代表的なのは皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないかというものだ。この点に関して、子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられる。配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられる。

新制度にする場合も現在の内親王・女王殿下方は現行制度下で人生を過ごされてきたことに十分留意する必要がある。

②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする

現行制度では婚姻により女性が皇族となることおよび皇族の夫婦から子が生まれること以外に皇族数が増加することはない。養子を迎えるのを可能とすることは、特に男子を得なければならないというプレッシャーの緩和にもつながるのではないか。

いわゆる旧11宮家の皇族男子は現行憲法・皇室典範の下で皇位継承資格を有していた方々であり、その男系男子の子孫の方々に養子となっていただくことも考えられる。

養子となって皇族となられた方は皇位継承資格を持たないこととすることが考えられる。

③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

この方策は皇族という特別な立場について、養子のような一般国民に広く受け入れられている家族制度とは異なるアプローチで、新たなメンバーを迎えようとするものと言える。

現皇族のご意思は必要としない制度であるという面もある。現在皇室にいらっしゃる皇族方と何ら家族関係を有しないまま皇族となることは②の方策に比べより困難な面があるのではないかとの指摘もある。①・②の方策では十分な皇族数を確保することができない場合に検討すべきではないか。


【その他】

婚姻により皇族の身分を離れた元女性皇族に皇室の活動を支援していただくことも考えられるが、皇族数の確保のためには①から③のような方策が必要。

【おわりに】

皇位継承については悠仁親王殿下までの流れを前提にすべきだとの考えで一致した。皇位継承の問題とは切り離した上で皇族数の減少が喫緊の課題であるという共通認識の下に、皇族数の確保に向けてできるだけ多様な選択肢を提示するという考え方にたって検討を進め、その具体的な方策を示唆するに至った。

これらの方策を実現することは、悠仁親王殿下の後の皇位継承について考える際も極めて大事なことだ。

皇室をめぐる課題が政争の対象になったり、国論を二分したりするようなことはあってはならない。静ひつな環境の中で落ち着いた検討をしていただきたい。



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