▼紀伊國屋のネット書店で「夜想交叉路」を入手して読んでくれる人がとても増えて、500冊以上、新たに一気に入荷してくれたのでした。
それがどんどん減っていきました。
「読もうとする人の気持ちを裏切る在庫切れ、それを起こすのだけは嫌なので、補充してください」と担当者にお願いしましたが、何の反応もなく、とうとう先ほど残り2冊になってしまいました。
やむを得ず、公務で忙中のアメリカ合州国から国際電話を担当者にかけましたが、「この電話はお繋ぎできません」というアナウンスが空しく流れるだけです。
いま確認のために見てみたら、残り、ついに1冊です。
それがどんどん減っていきました。
「読もうとする人の気持ちを裏切る在庫切れ、それを起こすのだけは嫌なので、補充してください」と担当者にお願いしましたが、何の反応もなく、とうとう先ほど残り2冊になってしまいました。
やむを得ず、公務で忙中のアメリカ合州国から国際電話を担当者にかけましたが、「この電話はお繋ぎできません」というアナウンスが空しく流れるだけです。
いま確認のために見てみたら、残り、ついに1冊です。
▼読みたい人がいるのに補充されずに、読者を裏切ってしまう、これはぼくが国会議員になってから出す本で繰り返されています。
出版する側にとっては「政治家の本は売れない。ましてや小説なんて」と考えるのかな、と勝手に想像します。
そうであっても、理解できます。ドラマや映画に出てくる政治家像は、毎晩、料亭に行って悪だくみをしている、
これ以外にほぼありません。
どれほど、新しい国会議員像を実行していても、まったく同じです。
出版する側が、増刷をためらい、そのために補充もできない、そうであってもよく分かります。
そして、前述の担当者は、一生懸命、良心的にやってくださっている人です。
▼これほどまでに悲しい、同じ出来事が繰り返されます。
真っ暗な海に向かって、ひとり、立ち尽くしているような黒い絶望感に襲われます。
やむを得ず、選挙に出るとき、おのれの人生が粉々に壊れるのは、覚悟しました。
決然と、覚悟を決めていました。
その通り、人生は粉々になりました。
しかし作家として、読者の気持ちを裏切ることだけは、どうしても、そのまま呑めません。受け容れられません。
いくら出版する側に働きかけても、無駄、無力です。
国会で水面下の交渉をしているときも苦しいですが、それでも、よほどマシです。じりじりと前進しています。後退もありますが、絶望しないで、見えない努力を重ねていると、すこしづつ変わっていきます。
しかし作家が、増刷も補充もしない出版側を、変えることはできませぬ。
作家であることを続けられないのであれば、他の沢山の仕事の何が良くても悪くても、もはやわたしは生きる根本を喪います。