oceanside

仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ミーターの大冒険 オーロラへ 15 「歴史消滅の結束点以前」

2022-01-04 05:19:25 | グレディアの日記
15 まず、お前にしっかりと伝えなくてはならないことといえば、我らの使命なんだ。この無秩序と暗闇の混沌から抜け出すのには、セルダン方程式の基本を忘れてはならないことは、イルミナ、お前も十分にわかっていることと思うが、人類全体の幸福の願いを未来に向かって投射し続けていくという行為なんだね。
 そのためには、日々一歩づつたゆまない過去との対話を通して前進していく他にはない、ということ。極素輻射体の照射については、アルカディアが見出だした「グレディアの日記」からある程度、描写されている。その極素輻射体の機能の中心は、その装置を操作する人間の中心心理と同調し、その意思に沿って多様変化する、ということなんだ。極素輻射体はまず全面に「白い世界が描写され、次に黒い斑点が全面を覆い、それから紫の斑点が拡大し、その反対側に赤の極点を映し出す」という。この装置は許された数名の者しか、その使用を許されていない。もしかしたらこの銀河のどこかにユーゴ・アマリル由来の極素輻射体が複数個存在しているかもね。
 
 ミーター、あまりにも込み入った話なのね!

 これからも何度も説明していく機会があると思うから一度に理解しなくていいと思う。

 それで、「我らの使命」と言ったわね?

 そうなんだ。俺も、ハニスさんもオリンサスさんも同じ気持ちだと思う。アルカディアが成し遂げた使命の次の使命。彼女がなし得なかったこと。彼女から託されたことがあるんだ。
 アルカディアは、二つのファウンデーションの確執をどうにか解決しようとして彼女の三部作を通して、セルダン、ガールから続く彼女の家系の足跡を明白に明らかにした。そのことによって二つのファウンデーションの使命を揺るぎなきものとした。
 「我らの使命」とは、今度は消された銀河の歴史をもう一度明らかにすることによってこの銀河を復興することなんだ。いわば歴史消滅の結束点以前を探るという大使命なんだ。
 
 ふ~。もしかしたら、ミーターの名講義はもう少しづつくみたいね!

 イルミナ、おっしゃる通り。もう少し我慢してくれないか。

yatcha john s. ミーターの大冒険 オーロラへ  15 「歴史消滅の結束点以前」


ミーターの大冒険 オーロラへ 14 「ウォンダと『極素輻射体』」

2022-01-04 05:16:59 | 歴史消滅の謎
14 イルミナ、オリンサスさんがお前をつくるのにどれだけ奮闘したかわかってるよな。最期の最期になってどうしても解決しない部分があったんだ。

 わたしを産み出すための産みの苦しみといったところですね。

 イルミナ、いいか、オリンサスさんは、ハニスさんの努力でレアアースも手にいれた。しかし、イルミネショナーをどうしても完成させることができなかった。完成させるのには、ある機能が必要だったんだ。その手がかりを血なまこになって探した。その不休不眠の結果、持病の心臓病を悪化させた。ある日、その欠落部分の手がかりを思いついた。最期の気力を振り絞ってピレンヌ像の土台部分を探った。
 若い頃知り合ったコンポレロンの友人の言葉を思いだしたからなんだ。

 ミーター、それってもしかしたら、「極素輻射体」っていわれている例の装置のことかしら?

 そうだ図星だ!イルミナ、実はコンポレロンは、もうひとつのファウンデーションと関係があるって、知ってるよな。そのもうひとつのファウンデーションは、セルダンの孫ウォンダとステッティン・パルヴァーの二人から出発した、と言われている。その後、ボー・アルーリンが加わり、初期のターミナスでガールとファウンデーションの創立に尽力した。そのアルーリンはハーディンを指導した。そして、ハーディンにその銅像と「時間霊廟」建設を託し、目立たないように陰ながらハーディンにターミナスの全権を託して世を去った。もしかしたら、アルーリンはコンポレロンの出身だったかもね。これ以上は、推測の域をでないが、そのコンポレロンと「不死の従僕」とは何らかの関係がある。

 ミーター、すごいわ!その「極素輻射体」とやらってどういう形状で、どういう機能があるのかしら?

 残念だが、今は、ハリ・セルダンの「心理歴史学」の研究と密接に関係があるカオス理論を形状的に現出させた機能的道具としかわからない。ハリ・セルダンの初期の研究同僚のユーゴ・アマリルがそれを頻繁に使用していて、ハリの孫娘ウォンダが幼児の時からそれを遊具としていた立方体、という文脈がアルカディアの『続・追憶の鍵を開けて』に記されてある。そしてウォンダから引き継がれきたペンダント。
 しかし、イルミナ、それがまた少しずつわかってきた。われわれの大事な使命を手伝ってくれるものが、もうひとつ見つかったような気がするんだ。

 すごいわ、ミーター。おさらいするね。
 この銀河復興には、カビレ第三惑星、アタカナの発見と再生がもとめられている。それと同時に歴史消滅以前の全容もわかってこなくちゃね。
 その任務遂行には、えへん、わたしという素晴らしい新兵器、それとミーター。そしてこの航宙船ファー・スター2世号。

 それで、ミーター、オリンサスが見つけた手がかりというのは?

 今から話す。

yatcha john s. ミーターの大冒険 オーロラへ 14 「ウォンダと『極素輻射体』」