何となくRPGでもプレイしようかと思っていた頃、ちょうど甘茶さまの感想文を読ませていただいたことをきっかけに、本作「THE はじめてのRPG ~伝説の継承者~」を完全クリアまでプレイしました。
以前もどこかで書いたのですが、初心者向けのゲームに必要なのは「単純なルールと簡単な操作」ではないかと考えています。低い難易度である必要はなく、それどころか少々厳しいくらいがいいでしょう。なぜなら、「ゲームってのは適当に操作していればクリアできるものなんだ」という意識を初心者に植え付けてしまうと、ちょっと難しいゲームに出会ったらすぐやめてしまって「ゲームってつまらない」という印象を抱かれかねないからです。それはゲーム業界の衰退に繋がるのではないでしょうか。
誰でも勝てるサッカーや野球なんてつまらないでしょう。大事なのは、頑張れば勝てるかも知れない、頑張って勝ちたい、と思わせるだけのやりがいがゲームにあることです。初心者を対象にするならば、なおさらそのように感じてもらう作りにすべきであると考えています。
そんなわけで、本作は実に初心者にふさわしい作品になっています。いわゆるドラクエタイプのRPGで、古くからのRPGファンには懐かしくプレイできます。また、次世代機以降にRPGを始めたプレイヤーにとっては、想像力を巡らせるような新鮮な体験であるかもしれません。「はじめての~」というタイトルはシンプルにしか作ることができないがゆえの開き直りではなく、「ゲームってこんなのでも面白いんだよ」という攻めの姿勢にさえ見えます。
さて、本作の評価ポイントは、何と言っても敵が強いということです。特に序盤で顕著ですが、「プレイヤーを負けさせてくれる」という貴重な機会を体験できます。全てのゲームの基本は「負けを覚える」ことに他なりません。そこから勝つ方法を探るのが面白いのですから。それでも勝てない場合は後回しにしたっていいのですし。実際にモンスターから逃げることができる確率はかなり高いように感じました。その後もパーティーと敵の戦力差はいいバランスを保っています。ちょっと修行(レベルアップ)すれば強くなるし、レベルアップの際に体力・魔力とも全快するので意外と強気に戦えます。とにかく毎回の戦闘に緊張感があるのがいいですね。戦闘で負けてもペナルティはささやかな小銭だけで済むので、大胆に戦いましょう。
戦闘シーンと言えば「おまかせ」なるコマンドがあって、仲間が全自動で戦ってくれます。序盤では「おまかせ」を選ぶことで魔力の配分の仕方や敵の能力などもわかって、なかなか勉強になります。中盤からは自分でコマンド選択した方が楽になりますが。
他にも本作のポイントとして、操作が簡単、マップがほどほどに広い、役割分担がシンプルながら工夫もできる、展開がわかりやすい、などが挙げられるでしょう。展開については、ある程度のヒントを手がかりに新たな場所を探索するという根源的な楽しさが味わえました。ただ一点、伝説の剣が抜けるようになるための情報を探すのにはちょっとだけ手こずりましたが。操作については、一か所プレステ2のアナログコントローラの特性を用いる謎があって感心しました(ナムコの「ベラボーマン」を思い出しました)。
ここまでいろいろ褒めてきましたが、さすがに本作はシンプルシリーズということで、突貫工事で作られたと思われる箇所が幾つかありました。まず、セーブ画面から抜け出すのが煩わしいという点。×ボタン連打で移動モードに戻れるとよかったと感じます。それと、モンスター図鑑にリストがないためにページをいちいち進めなければならないという点。そして、魔法エフェクトの省略ができないという点。いずれも大きな問題ではないのですが、プレイのテンポを若干損なっているような感触があって惜しまれます。
それと、これは個人的な好みかもしれませんが、キャラの名前は自分で付けることができるのに、過去と顔が決まってしまっているのが残念です。私としてはプレイヤーキャラ(=私)は舞台について何も知らない「冒険者」であって欲しいのです。最後に、基本的に一本道であることに不自然さを感じてしまいます。プレイヤーに「そっちじゃないぞ」と知らせるシステムは無くてもいいですね。それで負けるのもゲームのうちですから。
私のプレイヤーキャラ。名前が「ディック」に「グロス」で非常にダサイですが、これはランダムに発生した初期ネームをそのまま採用したためです。レベルは最大の65。経験値の1048576という数字は2の20乗であり、そこはかとなくパロディ臭さを感じます。
モンスター図鑑の最終ページのレッドドラゴン。このモンスターは最終ボスで負けないと登録されないようです。随所で現れる中ボスの強さは高めに設定されており、初見で勝てない奴らも多いかもしれません。けれども再挑戦が楽にできるようにダンジョンのショートカットができるという親切設計になっています。
そんなわけで、初心者を鍛えるというこの上なく重要な役割を担った作品であり、RPGを30年近くプレイしてきた私も結構楽しめました。いわゆる大作RPGが好きな人も嫌いな人もぜひプレイして欲しい作品です。
以前もどこかで書いたのですが、初心者向けのゲームに必要なのは「単純なルールと簡単な操作」ではないかと考えています。低い難易度である必要はなく、それどころか少々厳しいくらいがいいでしょう。なぜなら、「ゲームってのは適当に操作していればクリアできるものなんだ」という意識を初心者に植え付けてしまうと、ちょっと難しいゲームに出会ったらすぐやめてしまって「ゲームってつまらない」という印象を抱かれかねないからです。それはゲーム業界の衰退に繋がるのではないでしょうか。
誰でも勝てるサッカーや野球なんてつまらないでしょう。大事なのは、頑張れば勝てるかも知れない、頑張って勝ちたい、と思わせるだけのやりがいがゲームにあることです。初心者を対象にするならば、なおさらそのように感じてもらう作りにすべきであると考えています。
そんなわけで、本作は実に初心者にふさわしい作品になっています。いわゆるドラクエタイプのRPGで、古くからのRPGファンには懐かしくプレイできます。また、次世代機以降にRPGを始めたプレイヤーにとっては、想像力を巡らせるような新鮮な体験であるかもしれません。「はじめての~」というタイトルはシンプルにしか作ることができないがゆえの開き直りではなく、「ゲームってこんなのでも面白いんだよ」という攻めの姿勢にさえ見えます。
さて、本作の評価ポイントは、何と言っても敵が強いということです。特に序盤で顕著ですが、「プレイヤーを負けさせてくれる」という貴重な機会を体験できます。全てのゲームの基本は「負けを覚える」ことに他なりません。そこから勝つ方法を探るのが面白いのですから。それでも勝てない場合は後回しにしたっていいのですし。実際にモンスターから逃げることができる確率はかなり高いように感じました。その後もパーティーと敵の戦力差はいいバランスを保っています。ちょっと修行(レベルアップ)すれば強くなるし、レベルアップの際に体力・魔力とも全快するので意外と強気に戦えます。とにかく毎回の戦闘に緊張感があるのがいいですね。戦闘で負けてもペナルティはささやかな小銭だけで済むので、大胆に戦いましょう。
戦闘シーンと言えば「おまかせ」なるコマンドがあって、仲間が全自動で戦ってくれます。序盤では「おまかせ」を選ぶことで魔力の配分の仕方や敵の能力などもわかって、なかなか勉強になります。中盤からは自分でコマンド選択した方が楽になりますが。
他にも本作のポイントとして、操作が簡単、マップがほどほどに広い、役割分担がシンプルながら工夫もできる、展開がわかりやすい、などが挙げられるでしょう。展開については、ある程度のヒントを手がかりに新たな場所を探索するという根源的な楽しさが味わえました。ただ一点、伝説の剣が抜けるようになるための情報を探すのにはちょっとだけ手こずりましたが。操作については、一か所プレステ2のアナログコントローラの特性を用いる謎があって感心しました(ナムコの「ベラボーマン」を思い出しました)。
ここまでいろいろ褒めてきましたが、さすがに本作はシンプルシリーズということで、突貫工事で作られたと思われる箇所が幾つかありました。まず、セーブ画面から抜け出すのが煩わしいという点。×ボタン連打で移動モードに戻れるとよかったと感じます。それと、モンスター図鑑にリストがないためにページをいちいち進めなければならないという点。そして、魔法エフェクトの省略ができないという点。いずれも大きな問題ではないのですが、プレイのテンポを若干損なっているような感触があって惜しまれます。
それと、これは個人的な好みかもしれませんが、キャラの名前は自分で付けることができるのに、過去と顔が決まってしまっているのが残念です。私としてはプレイヤーキャラ(=私)は舞台について何も知らない「冒険者」であって欲しいのです。最後に、基本的に一本道であることに不自然さを感じてしまいます。プレイヤーに「そっちじゃないぞ」と知らせるシステムは無くてもいいですね。それで負けるのもゲームのうちですから。
私のプレイヤーキャラ。名前が「ディック」に「グロス」で非常にダサイですが、これはランダムに発生した初期ネームをそのまま採用したためです。レベルは最大の65。経験値の1048576という数字は2の20乗であり、そこはかとなくパロディ臭さを感じます。
モンスター図鑑の最終ページのレッドドラゴン。このモンスターは最終ボスで負けないと登録されないようです。随所で現れる中ボスの強さは高めに設定されており、初見で勝てない奴らも多いかもしれません。けれども再挑戦が楽にできるようにダンジョンのショートカットができるという親切設計になっています。
そんなわけで、初心者を鍛えるというこの上なく重要な役割を担った作品であり、RPGを30年近くプレイしてきた私も結構楽しめました。いわゆる大作RPGが好きな人も嫌いな人もぜひプレイして欲しい作品です。
最初から厳しめの設定で、中ボスクラスには初見では苦戦、負けもおおいにありという辛口なゲームですが、やり方を工夫するとどんどん面白くなって来るというタイプのゲームなんですよね。一見バランスは取れていないようでいて、実は取れているという難易度はなかなか上手いと思いました。それら障壁をクリアできた時のカタルシスも高まりますしね。現在の入手はやや困難かもしれませんが、安く売っているのを見かけたら購入する価値のあるゲームだと思います。RPG好きな人ならもちろん、「はじめての」RPGプレイにも悪くないのではないかと。
私にはどうもコンプリートしないと気が済まないという貧乏性がありまして、上陸できる陸地は全て回り、行ける海域は隅々まで行って、図鑑を埋めました。と言っても、ほとんどの行動はレベルアップ作業にしかならなかったんですけどね。レッドドラゴンの登録はかなりトリッキーですね。それにモンスター図鑑にリストが無いため、埋め残したのかどうかわからないのも、ちょいと憎らしいところです。
ゲームバランスは辛口だけど工夫次第で面白くなる、というのはまさにおっしゃる通りですね。たとえ負け続けても、いつかは勝てるようになっていますし、魔法の使いどころが解ってくると初見でも中ボスといい戦いができるようになりますからね。こうなるとキャラが強くなるだけじゃなくて、自分も強くなった感覚があって、それがカタルシスに繋がっている気がします。
せっかくの良作ですが、我が家周辺の中古ショップでは見かけませんでした。先日に出かけた秋葉原でも見た記憶がありません。きっと人気があるからだと勝手に納得しつつ、多くの人にオススメしたいですね。