工場のラインで働くナガセという女性が世界一周旅行の費用163万を貯金する話。ポトスライムという植物を育ていて、食べられないことを残念に思う話でもある。または、母と一緒に暮らす古い家を修理しようという話でもあり、夫の家から出てきた大学時代の友人とその子供がその家でしばらく一緒に暮らす話でもある。まあそんな表題作は、芥川賞受賞作だそうで、湿っぽい雰囲気と爽快な雰囲気を共存させた感じの作品でした。併録されている「十二月の窓辺」は、ツガワという女性がむなくそ悪い会社でのイジメ(パワハラ)を受ける様が描かれていた。
アル中の義父を殺してしまう女子中学生の話。母親からもネグレクトっぽい感じになっているが、学校ではそんな家庭のことは隠し、明るい女子をしている。しかし、いつもつるんでいる友達グループの中でうまくいかなくなったり、ゲーム仲間の男子のことで、別の女子グループからイジメにあったりもする。クラスの中でおとなしい女子が、私も殺したい人がいるというのです。先の読めない展開が面白く、次へ次へと読み進めていきたくなる。そんな作品でした。人殺しは職業ではないけどな…という些細な違和感もこの作者の持ち味なのでしょう。