【大阪市問題】この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2008年12月)
大阪市問題(おおさかしもんだい)とは、大阪市職員(大阪市役所とその各部局と区役所)のカラ残業、厚遇問題などの総称である。全国でも大きく取り上げられ、また、これがきっかけとなり、全国の他の自治体でも職員厚遇などが発覚したため、改革の動きは大阪市だけでなく全国に波及している[1]。
概要 [編集] 毎日放送のニュース番組VOICE内のコーナー「闇の正体」で取り上げられた「カラ残業問題」が発端となった。その後も、VOICEが率先してこの問題を取り上げ、報道関連の賞を受賞した。その後、大阪市は改革に取り組み始め、2005年4月1日に市政改革本部を設置し、2005年、2006年度の2年間で集中的に抜本的な市政運営の改革を進めてきた。しかし、2007年末には市政改革を推進してきた現職關淳一が落選し、新たに戦後初の民間出身市長である平松邦夫が就任。現在、従来の改革を洗いなおした上で新たな市政改革の方向性が検討されている。
経過 [編集]
セキ・關市長時代 [編集]
2004年 秋頃 - 大阪市職員★厚遇問題が発覚する。
12月19日 - 大阪市福利厚生制度等改革委員会が設置される。[2]
2005年 4月1日 - 市政改革本部を設置。2005年、2006年度の2年間で集中的に抜本的な市政運営の改革を進めると発表。
4月27日 - 市政改革本部の活動方針(案)を公表。[3]
9月27日 - 市政改革基本方針(市政改革本部案、市政改革マニフェスト)を公表。[4]
11月27日 - 出直し市長選挙で現職關淳一が再選。
2006年 1月 - ゆとりとみどり振興局が指名競争入札に際し、大阪府建設協会所属の12社以外を閉め出す官製談合を行っていた事が発覚[5]。
1月12日 - 局長・区長改革マニフェスト(局・区改革実施方針)(案)を公表。[6]
2月 - 局経営方針(案)を策定。
2月22日 - 大阪市が2006年度当初予算案を発表。今後5年間の予算の削減目標2,250億円のうち、約37%にあたる832億円分を削減する内容になっている。
3月1日 - 民間人による監視機関として★大阪市市政改革推進会議を設置。
3月3日 - 職員削減数を市政改革基本方針で示した7,000人から5,500人追加し1万2,500人を削減すると発表。
3月10日 - 4月から実施する組織改正案を発表。市政改革室などを新設。
8月31日 - 2005年度の普通会計決算見込みで、全会計ベースの市債残高が前年度比174億円減の5兆5,022億円となり、戦後初めて減少した。
2007年 3月16日 - 全国市民オンブズマン連絡会議が実施した第11回全国情報公開度ランキングの政令市総合ランキングで15市中3位となる(前回は14市中13位)。
6月27日 - 大卒や短大卒にもかかわらず学歴を★詐称して★高卒以下などの職種で採用された職員965人を停職1ヶ月の懲戒処分とする。
8月16日 - 大阪市債初の依頼による格付け実施。スタンダード&プアーズからAA-、ムーディーズからAa2(のちAa1に格上げ)の格付けを取得。
平松市長時代 [編集]
2007年11月18日 - 大阪市長選挙投開票。現職關淳一による市政改革の方向性が争われ、新人の平松邦夫が当選。就任は12月19日。市政改革マニフェスト等、改革の手法は大方引き継がれる。
2008年 2月4日 - 東住吉区役所で5,600万円の裏金が発覚。その後経済局をはじめ、多くの部署でも発覚。
3月4日 - 大阪市市政改革推進会議が解散。
4月1日 - 組織改正で情報公開室を新設。
5月8日 - 大阪市債が日本格付研究所(JCR)の格付け(AA+)を取得。
6月5日 - 裏金問題調査委員会の最終報告書が公表。
★裏金の総額は7億476万円に上るとし、予算の事業目的外に使われるなどした
2億5,697万円の★返還を職員やOBに求める内容。
6月12日 - 市長が2008年度から10年間で1,200億円の収支改善に取り組む方針を表明。現行の市政改革マニフェストを達成しても収支不足が見込まれるため。
7月14日 - 浪速区役所などで、さらに裏金の存在が発覚。この中には、裏金で風俗店通いをしていた事例もあった。
8月15日 - 新たに延べ12件、約320万円の裏金が判明。
10月17日 - 同年8月発覚の裏金問題で、98人を懲戒処分するも、★風俗店通いについては処分を断念。
2009年 3月11日 - 同市水道局員らが、同局発注の水道工事を巡り、業者に便宜を図った見返りに現金約60万円を受け取ったなどとして、収賄容疑で逮捕される[7]。 この事件で、住民から公益通報が寄せられていたにもかかわらず、同市が当時ほとんど対応していなかったことも明らかになっている。
3月30日 - 2008年に実施した公共建築工事で、発注の際に、本来は一般競争入札が必要な100万円以上の工事費用を要する工事にもかかわらず、価格を低く見積もった上で建築業者と随意契約を結んだ上、架空工事の計上などによって帳尻合わせする不正行為が発覚し、同市公正職務審査委員会が改善勧告[8]。
5月 - 同市東北環境事業センターの40歳の元男性職員が、2004年に器物損壊容疑で有罪が確定したにもかかわらず市に報告せず、2008年まで約4年間に亘り勤務を続けていたことが判明[9]。
7月 - 3月発覚の不正随意契約問題を受け、同市が調査を行なったところ、新たに51事業191件で、分割発注など不正随意契約が判明[10]。
8月 - 全国市民オンブズマン連絡会議が実施した全国情報公開度ランキングで、大阪市が総合順位で1位となる[11]。
8月28日 - 同市職員27人が、固定資産税や市民税など、同市に納める市税を、計約122万円に亘り滞納していたことが判明。同市は、給与を差し押さえることで徴収することに[12]。
10月30日 同市建設局南部下水道管理事務所の41歳の男性職員が、2003年6月から2007年2月までの3年半の間に叔父など6人の親族が死亡したと偽り、忌引休暇を不正に取得していたとして、停職3カ月の処分に[13]。
2007年分の国民健康保険料について、約1,000人分に対し数千万円分を過大請求していたことが判明する。同市では、一連の「消えた年金問題」を受け、保険料の変更可能期限を短縮していたにもかかわらず、一部の区で見落としていたことが原因としている[14]。
2010年 1月21日 - 2009年5月から6月にかけて申請された同市職員の通勤手当について、同市が内部監査した結果、300人超の職員について、認定された通勤経路と異なる定期券を購入するなど不適正な受給が発覚[15]。
2月10日 - 同市職員60人が、市税や、市営住宅の家賃などを滞納していたとして、停職や減給などの懲戒処分に。うち8人は、2007年にも市税滞納などで処分されていた[16]。
2月25日 - 同市環境局所属で複数の火葬場に勤務する職員が複数名に亘り、一部の葬儀会社に優先的に火葬を行わせるなどの便宜を図っていた疑いが浮上。業者側から心付けを受け取っていた可能性もある。2002年にも、火葬場勤務の全職員への心付けが発覚している[17]。
2月26日 - 前述の心付け問題などを受け、平松市長が全職員に対して綱紀粛正を指示[18]。
3月 - ゴメス・コンサルティングの実施した「自治体サイトランキング」で、大阪市ホームページが1位となる[19]。
5月 - 前述の火葬場職員の心付け問題で、市は計42人を懲戒処分に。うち10人は免職。
8月 - ペットの死体の償却を担当する同市環境局木津川事務所で、一部職員が飼い主から心付けを受け取っていたことが判明。また、供養碑に供えられた賽銭を盗んだ職員の存在も発覚[20]。
9月 - 同市の旭区を除く各区長らが、2008年から2010年までの3年間に亘り、地元の地域団体との旅行に参加したが、その際、公務出張として参加していたことが判明した。同市公正職務審査委員会は「公務出張の必要性は認められず、地方自治法に違反する」と指摘し、平松市長に対し、2005年度以降の各区長の給与相当額を自主返還させるよう勧告[21]。
12月 - 環境局河川事務所の職員らが、川の清掃で拾得した金品を着服していたことが、内部告発により判明し、市は関わった職員計42人について、懲戒免職などの処分とした[22]。
2011年 1月 - 同市が組織する「地域ネットワーク委員会」に於いて、同委員会を構成する地域推進員約300人に対し、根拠となる条例を定めないまま、1人につき年間約120万円の報酬が支払われていることが発覚した。いずれも補助金から支出されており、ヤミ手当であると指摘されている[23]。
橋下市長時代 [編集]
2012年 3月 - 前年の2012年11月に行われた市長選をめぐり、同市交通局の職員が選挙活動にかかわる電子メールを多数送信していたことや、人事異動にあたり同局の幹部職員と労働組合とが事前調整していたことなどが明らかとなる[24]。また、同市交通局の労働組合が、当時の平松市長への投票を呼びかけるビラを職場内で配布していたことも明らかとなる[25]。
7月 - 大阪市から市有地の駐車場などの管理運営を委託されていた大阪市人権協会が、2002年から2005年度に納付金を納めず、市が人権協会に4億5000万円を請求するよう求められていた住民訴訟で、約3億8000万円を人権協会に請求するよう命じる判決が確定した[26]。
8月 - 同市が出資している「大阪国際空港ターミナル」(大阪国際空港のターミナルビルを運営)の100%子会社である「関西国際空港サービス」に、同市職員OB計8人が天下りしてきていることが判明した[27]。
主な問題 [編集]
職員厚遇問題 [編集]
市長を助役や市職員の中から輩出する伝統が続いていたが、こうした閉鎖的体質には経済界などからの批判も強い。市役所内の所在フロアから地下1階(職員組合)と5階(市長室)が方針を決めて、8階(市会)が追従するとまで言われるほど、強力な発言力を持つ職員組合の影響で、職員の給与水準は政令指定都市の中で川崎市に次いで2番目に高かった。また、政令指定都市中最悪という深刻な財政危機にもかかわらず福利厚生は政令指定都市の中で最高で、市民から強い反発を受けたため、その厚遇見直しについて論議されてきた。2007年11月に行なわれた市長選では元助役だった現職が民間出身の新人に敗れ、長年続いた助役・市職員出身市長が途切れたことになる。
大阪市の労組によるヤミ専従問題 [編集]
詳細は「ヤミ専従#大阪市役所の労組による「ヤミ専従」問題」を参照
第三セクター問題 [編集]
1990年代から、湾岸地域開発の先行投資等として計画調整局が所管する株式会社湊町開発センター(OCAT)、株式会社大阪シティドーム、経済局が所管するアジア太平洋トレードセンター(ATC)株式会社、建設局が所管するクリスタ長堀株式会社、港湾局の所管する株式会社大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)、の第三セクター各社が相次いで経営破綻し、交通局の土地信託であるフェスティバルゲートの破綻などいわゆる5K(所管局の名称の頭文字から)問題がある。現在、これらの第三セクターは経営再建に取り組んだ結果、2004年度にOCATが、2005年度にWTC・ATCがそれぞれ黒字を達成している。また、大阪ドームは2006年9月1日付けでオリックス不動産が買収している。また、大阪府内にある第三セクターの2005年度の経常収支は前年度比340億300万円増の387億5,700万円の黒字で全国最高だった[28]。
行財政改革 [編集]
市職員数は4万7,608人(2005年10月1日時点)で、他の政令市と比べても多かったが、削減を進め、2010年4月現在で3万9,038人に減少した[29]。また、市債残高は約5兆5,022億円(平成17年度末)にのぼり財政再建団体への転落が危惧されているため、事務事業の見直しや業務委託、外郭団体の統廃合など改革が進められている。2010年度末までに市債残高は約5兆1300億円まで削減される見込みである[30]。
2006年時点で人口一人当たりの市の負債額が、全国政令指定都市中最高であった。実質公債費比率は25%超えの横浜市、20%超えの千葉市、福岡市、神戸市、川崎市、名古屋市、広島市などに比べると比較的良い17.5%で、全国政令指定都市中ワースト10位である[31][32]。
近年、大阪府が府と大阪市の合併を提唱したいわゆる「大阪都構想」に反発し、地方自治法黎明期に存在し、都道府県から独立した行政主体である特別市と同様に、政令指定都市より強い権限を持ったスーパー指定都市構想を掲げている。平松市長は、関西州設立を展望した、府市連携、都市間連携を主張している[33]。
同和行政問題 [編集]
詳細は「飛鳥会事件」を参照
芦原病院(浪速医療生活協同組合)への不明瞭な補助金や、飛鳥会事件などをきっかけとして、同和行政に大きな問題点があったと指摘された。
同和対策事業の一環として設置された工場アパートでは、市経済局の裏金問題に関連して、同じく同和対策事業であるリサイクル施設の運営委託費から捻出し、工場アパートの賃料滞納分を、30年に渡り穴埋めしていた。また、1996年には本来工場用途であるにも関わらず、暴力団関係者が入居していた事実が発覚している。
地区には人権文化センター(旧解放会館)や青少年会館、地域老人福祉センターなどの公共施設が設置されていた。これらの施設は事実上地区住民しか利用できなかった。また、地区の小中学校や保育所には、職員を多めに配置する「加配」なども行われており、過大な優遇と批判された。
市政改革 [編集]
実行したもの
各部局に改革方針を示させた。
市政改革本部を設置。
情報公開の推進。コンプライアンス体制の整備。
外郭団体の統廃合。
不動産や株式等の市有財産の売却。
今里筋線の今里駅以南の工事の凍結。
職員の新規採用の凍結。しかし、自治労の支援を受けて当選し2007年12月に就任した平松邦夫市長は、将来の組織の継続性に懸念を示し、凍結を解除したが、人員削減は継続している。
同和行政の見直し
計画・策定中のもの
大阪市交通局の民営化。ただし、平松市長は民営化には慎重であり、当面は公営企業形態を維持しながら経営改革を行うとしている。
区政改革による都市内分権の推進[34]。
大阪府との二重行政解消。「府市連携協議会」や知事・市長のトップ会談を通じて水道事業のあり方等を協議中。
大阪市政における違法行為等に関する調査報告 [編集]
大阪市職員による一連の違法ないし不適正な行為が相次いで発覚したのを受けて、2012年1月12日に、大阪市の橋下徹市長が外部調査を依頼。大阪市特別顧問であった野村修也(中央大学法科大学院教授・弁護士)が代表となり、弁護士や公認会計士らで構成される第三者調査チームを結成し、調査が行われた。この報告書は、約3ヶ月間にわたる調査結果を取りまとめられ、大阪市役所のホームページに掲載された[35]
脚注 [編集]