車まみれのNO CAR,NO LIFE!

車で「ひとつ」になるな。車で「ひとり」になれ。車で自分になれ。
車を24時間365日想っている人の話

T-Roc TDI インプレッション

2021年05月02日 15時36分19秒 | VWインプレッション
フォルクスワーゲンのプロがインプレッションする企画第2弾!

今回はT-Roc TDIをインプレッションします。





T-Rocは昨年の2020年夏から日本にて発売されました。
前回紹介のT-Crossのような台数の記録はそこまで大きくないものの、
今のフォルクスワーゲンの主力モデルであることは間違いありません。
実はT-Rocの世界的なデビューは2017年のモーターショーでした。
当時、TIGUANと同時に発表発売されましたが、日本ではなかなか導入されませんでした。
ですが、昨今のSUVブームにより日本でも導入、発売をした注目の新型モデルです。

◆デザイン◆
フォルクスワーゲンらしいエッジの深いデザインと、サークル型のデイタイムランニングライト、
クーペSUVとも言われる、後席にかけてルーフラインが落ち、デールゲートに傾斜がついているのが特徴的です。
また、ホッケースティックと言われているサイドのガラス上からCピラーにつながるシルバーのトリムがおしゃれポイントです。
流麗、エモーショナル、というフォルクスワーゲンらしくないワードが導入研修で印象的でした。
フォルクスワーゲンのデザイン哲学としては水平基調でシンプル、飽きの来ない、古く見えないデザインを大事にしているので、
T-Rocはちょっと特別な凝ったアウディ的なデザインをしています。
また、T-Cross同様、車体下側は樹脂になっていて、SUVらしい力強さも演出しています。
プレスラインはサイドの深いキャラクターライン以外にも、前後のフェンダー部のホイールアーチ、リアゲートの深い折り目ラインが印象的です。
ドアノブもキャラクターライン下にあり、他モデルと比べると少し低い位置にあるのがわかります。



また、インテリアも凝ったデザインをしています。
エクステリアフロントマスクを思い出してみると、リンクしているのがわかります。
サークル型のデイタイムランニングライトは左右のエアコン吹き出し口、
グリルの形は、ダッシュボードインパネの形とリンクしています。
こういう統一されたデザインが所有欲を高めます。

◆パッケージング◆
フォルクスワーゲンの考え方としては家族で快適に乗れるスペースを大事にしています。
後席にかけてやや下がっていくルーフライン、クーペSUVスタイルのT-Rocでも、
後席のヘッドスペースを犠牲にしていません。大人4人であれば広々と乗ることができます。
また、後席の足元のスペースもT-Crossと比べると余裕があります。
車幅もT-Cross比+6cmということもあり、シートにも余裕があります。
T-Crossでは少し小さい、後席の使用頻度が高いという方にオススメです。
ラゲッジルームもゴルフやT-Crossより大きいものになっています。
小さめであればゴルフバックが横に乗る場合もあります。

◆エンジン◆
排気量:2000cc
馬力:150PS
トルク:340N・m
燃費WLTC:18.6km/L
燃料:軽油

他のTDIモデルと共通の2リッタークリーンディーゼルターボです。
アドブルー(尿素水)で有害物質を無害化する最新の浄化システムを採用している、
新世代のクリーンディーゼルとなっています。
クリーンディーゼル車の特徴としてとても太いトルクの為、ガソリン車ではあり得ないパワー感を感じることができます。
中高速域での追い越し加速のシーンを得意とするのですが、街乗りでも扱いやすく、モリモリと力強く走ります。
またトルクで走るので、ガソリン車と比べて満載の重い時でも燃費悪化しないのも特徴です。
とは言え、ガソリン車と比べるとネガティブなポイントもあります。
エンジンレスポンスです。走り出しのスムーズさ、踏み込んだ時の応答がやや遅いです。
エンジン構造が違うので仕方ないですが、スポーツカー的な走りには向かないエンジンです。
とは言え、T-Rocはネガがかなり改良されています。TIGUANやGOLFのTDIエンジンに比べればガソリン車に近いです。
あとは、振動やガラガラ音、フォルクスワーゲンのクリーンディーゼルはかなり静かな方ですが、
ガソリン車と比較してしまうとやや振動、音は気になります。

◆走行性能◆
・ハンドリング
TDIエンジンはT-Crossの1リッターエンジンと比べると重いです。
その重さによって重厚感のある走りになっています。
軽快さはありませんが、とても安心のできるしっとりとしたハンドリングです。
T-Crossとの車格の違いを感じる、一段上の質感を感じます。

・足回り、乗り心地
こちらも質感の高さを感じます。
ドイツ車らしい硬い乗り心地ですが、目地段差でドンッ!と突き上げられた時、
T-Crossよりも振動は少ないです。足がうまく収めてくれて、懐深い足だなと感じます。
とは言え、高級セダンのような滑らかな乗り心地ではありませんのでご注意を!笑
T-Cross同様車高の高さを感じさせないロールの少なさ、国産モデルにはないしっかり感があります。
高速で長距離移動しても疲れません。安心してずっと乗っていられると思います。
また、シートもすごく良いです。
ドイツでは走行距離の想定が日本の2倍です。年間2万キロ走行が想定されています。
つまり、シートに座る時間も2倍です。長く乗っていても疲れないシートになってます。
シートは硬めで座面には傾斜がついていて腰がしっかり固定されます。
特にT-Rocのスポーツシートは詰め物の量、サイドサポートがベストバランスで、
快適性、ホールド性がここまで高いレベルで両立できるとは!と驚きました。

・ブレーキ
ドイツ車らしくよく利くブレーキです。
速度を問わず、扱いやすく、安心できます。
T-Crossよりも剛性感、しっかり感があります。

◆不満点◆
多くの方からご指摘頂くのは内装のチープさです。
安くても410万円、高いと460万円、諸費用入れると500万円超えの車なのに、ダッシュボード、ドアはハードプラです。
競合国産モデルはこの金額で選べばかなり豪華なインテリア(レザーシートなど)が選べます。
POLOでさえソフトパッドを使っています。せめて、ダッシュボードにソフトパッドを・・・涙
なぜかというと、フォルクスワーゲンは目に見えないところにお金をかけているからです。
MQB骨格など非常にマニアックなつくりをしています。
だからと言って内装を簡素にというのはお客様には受け入れられません。

◆総評◆
★★★☆☆3.5
デザインはとてもカッコよく、サイズ感、使い勝手がちょうどいいです。
幅は182cmと少し大きいですが、最小回転半径が5.0mととても小回りが利くのもうれしいポイントです。
正統派、硬派なコンパクトSUV、一緒に暮らしたら楽しいこと間違いなしだと思います。
個人的には本国モデルの1.5リッターガソリンエンジンが気になります。
このサイズ、この格好にはガソリンモデルがマッチしていると思います。
日本に導入されることがあればまた記事にしたいと思います。


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VW T-Cross インプレッション

2021年02月26日 17時15分13秒 | VWインプレッション
お待たせしました!
フォルクスワーゲンのプロがインプレッションする新企画!とうとう始まります。
車種ごと評価ポイントを共通化するために
デザイン、パッケージング、エンジン、走行性能、乗り心地、不満点、総評という
7つの項目で各車種をインプレッションしていきます。

車選びの参考にしていただけたらと思います。

今回は注目のコンパクトSUV、フォルクスワーゲンT-Crossをインプレッションします。



T-Crossは約1年前、2020年1月に日本で発売されたコンパクトSUVです。
発売当初から人気が高く、2020年輸入車のコンパクトSUV部門でNO.1の販売台数だったという実績もあります。

そもそも世界でコンパクトSUVは今、流行っています。
なぜかというとコンパクトカー並みの取り回し性能で、背が高くヘッドスペースにも余裕があり、荷室容量も大きい。
また、高い着座位置で視点が高く運転しやすいからです。
ハイトワゴン軽自動車が決められて寸法内で上に大きくなっていて、それがとても人気があるのに理由は似ているかもしれません。

◆デザイン◆
大型のフロントグリルが特徴的です。
フォルクスワーゲンのデザインとしては珍しい大型のフロントグリルを採用、
また、ボンネットの高さを高くすることで実寸以上に車が大きく見えるデザインとなっています。
ボンネットのプレスライン、サイドのプレスラインともに2本線のラインとなっていて統一性があります。
サイドラインのプレスラインは深く、陰影が楽しめるデザインもフォルクスワーゲンらしさです。
リアのテールライトがつながっているのも今時のデザインです。つながっている部分は反射板のみで光ったりはしませんが、
夜間の安全性を高めるデザインにもなっています。
下側をカバーしている樹脂パーツはSUVっぽさを強調しています。
実際、ちょっと擦ってしまっても鉄と違い錆びないからそのままにできる点や、
板金ではなく樹脂部交換で済む為、安く直るメリットもあります。

◆パッケージング◆


SUVスタイルであるため、ヘッドスペースにゆとりがあります。
後席も狭くは感じさせない広さがあります。
コンパクトサイズなので絶対的な広さはありませんが、
ヘッドクリアランスや視界から狭く感じさせない工夫があります。

また、後席を14センチほど前後にスライドさせることができ、荷室の広さを変えることができます。
そもそも荷室もクラストップレベルの広さがありますが、荷物が多くなってしまった時には
頼もしい機構です。国産車はこの手の便利な機構がついている場合が多いですが、
どうしても輸入車はそういった一手間を加えた機構は苦手でした。
フォルクスワーゲンとしてはT-Crossで初採用となり、T-Croosへの力の入れようがわかります。

後席も広いことからファミリー層にもとても人気があります。

◆エンジン◆
排気量:1000cc
馬力:116PS
トルク:220N・m
燃費WLTC:16.9km/L

フォルクスワーゲンおなじみのダウンサイジングターボエンジンです。
1リッターではありますが、POLOよりパワーアップされており、
UP!GTIと同じエンジンを搭載しています。
馬力は116と驚くほどではありませんが、
街乗りや加速に特に大事なトルクは220Nと2リッタークラスの大パワーです。
パワー不足を感じさせません。競合モデルと比較してもパワフルです。
やはりこのあたりはアウトバーンで時速200キロオーバーでも走れるような
エンジンを載せていることがわかります。

◆走行性能◆

・ハンドリング
適度にクイックなハンドリングです。
遊びが少なく、スポーティーな印象です。
交差点やコーナリングでもグッと切っていくと思い通りの舵角でコーナーをパスしていきます。
とても気持ちいい。
特にフロントのエンジンは軽い為、グイグイノーズが入っていくように切り込めます。
ワインディングロードでもキビキビしていて絶対に楽しいのは容易に想像できます。

・足回り
柔らかく快適ではありません。
ドイツ車らしいしっかりとしたコシのある足です。
SUVはサスペンションのストローク量も多く、コーナーでふらつきがちですが、
さすがドイツ車、ロール量がとても少なく、ふらつきません。
初めて試乗してみた時に一番ビックリしたポイントです。
走りが好きな人はロールが大きい車は好きではないと思います。
そういった理由からSUVスタイルは好きになれない方も多いです。
T-Crossはコーナーの踏ん張り感がいい意味でSUVっぽくありません。
車高が高くない車に乗っているくらいのしっかり感があります。

・ブレーキ
私の86よりもしっかりしています。ブレーキの剛性やタッチがより安心できます。
つまり、国産スポーツカー以上の性能、質感という感覚です。
特に高速域でのしっかり感や初期制動の応答性、その後のタッチなどブレーキのフィーリングが
安心できるブレーキです。アウトバーン性能恐るべしです。

◆乗り心地◆
足回りがしっかりしている分、乗り心地はよくないかもしれません。
そもそもドイツ車は硬めの足として知られています。
スポーツ性を高めると乗り心地が悪くなるのは仕方ないことです。
でも決してガチガチのスポーツカーのように悪くはありません。
私の86は車高調を入れて走行性のは上がりましたが、快適性、乗り心地をかなり犠牲にしています。
休日に86に乗り、仕事でT-Crossに乗ると快適性と走行性能の両立を羨むほど快適です。

遮音性レベルもとても高いです。
ロードノイズ、風切り音、エンジン音、エンジン振動の車内への侵入はとても少なく快適です。
これはクラスを超えたレベルと言っても過言ではないと思います。
なぜか、それは3つの理由があります。
1.エンジンそのものがとても静か、3気筒エンジンですが、不快な音や振動は発生させないように作られています。
(これは試乗中のお客様に多く褒めて頂けるポイントです。)
今やただ走るだけのエンジンなんてどのメーカーでも簡単に作ることができます。
いかに静粛性が高く、低振動で燃費のいいエンジンを作ることができるか、各社が奮闘しています。
フォルクスワーゲンのエンジンはどのモデルもかなり静かで低振動です。
2.遮音材を多く使っている。床下やボンネットなど極力遮音できるように遮音材がとても多く使われています。
3.MQB骨格の採用、ボディ骨格は静粛性にも影響します。骨格のレーザー溶接や接着剤の改善により高級車並みの静粛性を実現しています。

◆不満点、気になる点◆
1点目はエンジンが1リッターということもあり、ターボ加給が薄い回転域1000~2000回転までは
トルク、パワーが薄いと感じることがないこともありません。
ターボ車のデメリットは走り出しのトルクの低さだとは理解していますが、
他の1.2~2リッターエンジン車以上に排気量が小さい為に感じてしまう点もあるかと思います。
でも、逆に2000回転以上はとてもトルクフルなので、ターボ車の特性として割り切るしかないでしょう。

2点目は内装がプラッキーな点です。
フォルクスワーゲンは目に見えないところにお金をかけるメーカーです。
MQB骨格や高性能エンジン、足回り、塗装等にとてもお金をかけているため、
ダッシュボードやドアの内張はすべてプラスチックにになっています。
僕みたいな車マニアのお客様には理解して頂けますが、
300万円以上する車でこの質感はナシ!と早々にジャッチしてしまうお客様も少なくありません。
国産車はそのあたりがうまいです。ソフトパッドや合皮、ステッチを多用してそこまでお金をかけずに豪華に見せてきます。

3点目は後部座席が14センチ程スライドすると紹介しましたが、
リアシートを前に動かしたときにラゲッジスペースの処理が微妙なのです。
動いた分荷室のボードが伸ばせるとかそういった細かな工夫はない為、
シートが前に動いたままのスペースになっています。
(説明が難しいですが、見ればわかると思います。。。)

4点目は運転席の足元のスペース
輸入車は基本左ハンドルで設計されているため、
右ハンドル仕様にしたときに運転席の足元に余裕がないのは
昔からの輸入車の懸念ポイントです。
慣れれば問題ないかもしれませんが、T-Crossもやや狭めです。
僕の場合左膝がセンターコンソールにあたってしまいます。

◆総評◆
★★★★☆星4

使い勝手、走行性能ともにとても高いレベルにあると思います。
国産車では満足できない、車の本質を理解しているこだわり派の人に選んで頂きたい車です。
また、コンパクトSUVで上質な走りを求める方、人と違う一クラス上のコンパクトSUVを求めている人には自信を持ってオススメしたい車です。


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