【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第58回
「敬天愛人」(西郷隆盛)
昭和における経営の神様が 松下幸之助さんであるならば、
激動の時代であった平成という時代における日本の経営者と言えば、
稲盛和夫さんと言っても過言ではないでしょう。
京セラを1957年に創業してから、KDDIの立ち上げや JALの再生など
数多くの実績を残して、令和4年8月にご逝去されました。
心からご冥福をお祈り申し上げます。
稲盛さんは鹿児島県出身で、尊敬する人として西郷隆盛さんをあげています。
その西郷さんについて書かれた「西郷南洲翁遺訓」という本がありますが、
その中にある言葉が今回の言葉になります。
西郷さんや、西郷南洲翁遺訓についても、お伝えしたいことは沢山ありますが、
ここではあえて割愛いたしますが、また別の機会でお伝えできたらと思います。
この「敬天愛人」という言葉は、まさに幾多の辛酸(しんさん)を経た
西郷隆盛さんの教えでもあります。意味合いとしては、
「天とは宇宙を含めた天地自然の道であり、人の道でもある。
故に天地自然を敬うことは天意でもあるという。」ということであります。
この言葉は、京セラの社是にもなっています。
「天を敬い、人を愛し、天を識(し)り、己を盡(つく)して、人を咎(とが)めず、
我が誠の足(た)らざるを尋(たず)ぬべし」
まさに、稲盛さんは西郷さんを通じて、自分自身の在り方や生き方を問い続けたそうです。
そんな平成の経営の神様を通じて、沢山の学びを得て、
自分自身を深く掘り下げて、混迷した時代を力強く生きていくべく、
これからも日々精進して参ります。
参考文献
『敬天愛人』 稲盛和夫著 PHP研究所
『生き方』 稲盛和夫著 サンマーク出版