【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第97回
「沢庵(たくあん)禅師の遺偈(ゆいげ)「夢」 」(沢庵禅師)
沢庵禅師(1573年~1646年)といえば、江戸時代に活躍した曹洞宗の僧侶で、
漬け物のたくあんの考案者という説もある方で、とても有名な僧侶です。
元々は、武家の家柄で、後に徳川家光(三代将軍)が彼に帰依しました。
沢庵禅師は、臨終の間際に弟子たちに求められて、
やむなく筆を取り「夢」という遺偈(ゆいげ)を記しました。
夢
百年三万六千日
弥勒観音幾是非(みろくかんのんいくぜひ)
是亦夢非亦夢(ぜもまたゆめ、ひもまたゆめ)
弥勒夢観音亦夢(みろくもゆめ、かんのんもまたゆめ)
仏伝応作如是観(ほとけいわくおうさにょぜかんか)
荘子の「胡蝶の夢」を彷彿させる言葉でもありますが、
第26回 「胡蝶の夢」(荘子) 参照
まさに沢庵禅師は、弟子たちに本当は何を伝えたかったのか、
その本質は定かではありませんが、私なりに感じることとしては、
「人生はすべて夢、幻のようなもので、だからこそ一瞬一瞬大切に生きなさい。
この世におけるすべては、是も非もないのだから、とらわれてはいけない。」
という感じをしています。
少しでもそのように感じられるよう, 一瞬一瞬大切に生きていきたいと思います。
参考文献
『NHKテレビテキスト 100分de名著 「荘子」』玄侑宗久著 NHK出版