歌うように語ろう

観劇や観戦(主にフィギュアスケート)等について語るブログです
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GOLD~カミーユとロダン~

2011年12月14日 | 観劇関係

久しぶりに土曜日に観劇に行ってきました。正直、その前夜に飛び込んできたあまりにも悲しい知らせになかなか眠れず、体調も今ひとつの中行くか行くまいか大分迷ったのですが、あまりにも意気消沈している私を見かねて家族一同が「気分転換になるから予定通り行って来い」と勧めるので見てまいりました。

場所はシアタークリエでマチネ、後方席ながらもセンターよりで観やすい席でした。以下感想を書きますが、かなり辛口なので検索で来られた方、ご注意ください。特に特定のキャストさんのファンは気分を害されるかもしれませんのでブラウザバックされた方がいいかもしれません。とにかくネガティブな意見は見たくない方はご覧にならないほうがよいです。

まず題材が地味目で、しかも海外初上演ということもあるので、失礼ながら全く期待せずに臨みました。ただ、メインキャストのお二人は安心して歌が聴いていられる歌唱力の持ち主、そこだけには大いに期待していたかもしれません。

確かにメインであるカミーユ(新妻聖子)とロダン(石丸幹二)は非常に豊かな歌唱力で聞かせてくれました。少なくとも歌唱力には全く文句はありません。そして予想外と言っては失礼ながら、クローデル夫人(根岸季衣)も思いの外危なげない歌唱でした。クローデル氏(西岡徳馬)は、まあ頑張ってるなと伝わりましたし、ポール(伊礼彼方)も去年のエリザより歌唱力が上がっているように思えました。

……しかしながら、引き込まれないのです。難解で耳に残らない楽曲、ミュージカルとストレートプレイの中間のような曖昧なバランス、そして何よりカミーユとロダンの相性が関係の破綻を迎える前から何かそぐわないように見えるのです。それでも石丸さんは、昨年のエリザよりは濃さをコントロールしているように見えましたが、それでも非常に濃い。そして新妻さんに至っては見ているこちらが引くほどの濃厚さでぐいぐい押してくるかのような印象を受けました。妙な喩えですが、オリーブオイルとごま油が喧嘩しあっているかのようで胸焼けを起こしそうな過剰な濃厚さを感じました。調和が感じられないのです。芸術家という役どころを考えても、エキセントリックというよりひたすら、押しの強さで圧迫感を覚えました。

メイン二人のキャストさんがとても好きな方や、本家ロダンやカミーユに造詣が深い美術通の方などには楽しめるのかもしれませんが、率直に言って、もう一回見たいとは全く思わない舞台でした。途中、うっかり眠りかけてしまったのですが、幕間にトイレ列に並んでいたら前の方もお連れの方に「30回くらいあくび出ちゃったわ~」とおっしゃっていました。

後日、別に観に行かれた方の意見を聞きましたが、やはり大層つまらなかったとのご意見でした。アメリカではトライアウト期間で終わってしまった作品だと後で聞きましたがなるほど頷けます。キャストの相性の問題もあるのでしょうが、正直内容自体もあまり優れているとは評価しがたいものでした。満足感はほとんどなし、というのが私の感想です。