ちょうど今、私の私用PCを古いものから新しいものに移行しているところなのですが、8年もの間使い倒した旧型マシンからいろいろ引越しさせるのには骨が折れます。
さすがにもう膨大なデータを直接移管することは断念したので、それは外付けHDで何とかすることにします。
閑話休題。ちょっと中断していましたが、主要要素について語るシリーズ?第二弾、今回はスピン編です。
今シーズンに入る前に、毎年恒例になりつつあるルールマイナーチェンジ(毎年細かいとは言えルールが変わる競技というのもいかがなものかと思いますが)がなされ、その中でスピンはややレベル認定が厳しくなるようにISU コミュニケーションの中の文言からは受け取れました。
しかしシーズンが始まってみると、さすがにトップ選手たちはあまり取りこぼしなくスピンのレベルをとっているところを見ると、思ったよりも選手にとっては大変な変化ではなかったのかもしれません。
ただ、今季に限らず見ていて改めて思うのは、レベル4で全て揃えている=スピンの名手とは限らないということです。
例えば女子のスピンがうまい選手といえばシズニー選手や(最近ちょっと精彩を欠いていますが)ナガス選手が上げられますが、彼女たち以外でも結構オールレベル4で固めている選手はいます。
見ていて美しいスピンといえば、回転速度や回数もありますが、トラベリングせずきれいなポジションであることも必要な条件ではないかと個人的には思っています。そして、明確ではないものの、軸ブレがないか否かという点でトラベリングについてはGOEの判断条件でも入っています。しかし現状はというと、結構トラベリングしている選手がレベル4を取っていたり、ポジションがあまりきれいでない選手がやはりレベル4を取っているんですよね。それよりも厳しく見られているようなのが、スピンの入りのような印象です。スピンに入る瞬間にちょっとでもバランスを崩したりするとあっという間にレベル1とか2にされてしまっています。まあ確かに、スピンに入り回転が終わるまでの一連の流れはプログラムの流れを壊さないためにも大切ではあるのですが、ポジションの美しさにはもっとGOEをはずんであげてほしいですし、また、トラベリングはどう見ても軸がしっかりしていない証明だと思いますのでその辺はあいまいにしないでレベルを安易に上げないでもらいたいものだと思います。
ところで男子でスピンの名手というとすでに引退されていますが、ステファン・ランビエールさんがあげられると思います。前回のエントリーで少しだけ触れた興味深いことというのが彼の著書に載っていたのですが、ランビエールさんのコーチ、Mr.グルッターは独自の指導をしていたようです。以下一部抜粋します。
『スピンについては、ミスター・グルッターの考えはとても斬新だった。彼はいつも生徒たちに面白いポジションでやってみなさいと言う。これはぼくたちの間でいつもジョークの種になるのだが、彼は僕にあらゆるポジションでスピンをやらせようとした。ただ、言われてもぼくの身体ではできないポジションだってある。だから、ぼくは逆に自分ができるものを彼に見せようとする。「あなたの言うスピンはできないけれど、これがぼくのスピンです」と。そういうやり取りのなかから、ぼくのスピンは生まれた』(以下略)
スイスというとスピンの得意な選手のメッカのような国です。ランビエールさんはもちろん、同じく引退されたサラ・マイヤーさん、そして何よりその独自なスピンに名前がついたビールマンさん(ただし、初めてビールマンスピンのポジションを披露したのはタマラ・モスクビナさん:川口&スミルノフ組のコーチ)などなど、日本にジャンパーが多いという傾向のように、スイスにはスピナーが多々います。それはひょっとすると、このグルッターコーチのような独自の指導方法の賜物なのかもしれません。
思ったよりもこじんまりとなってしまいましたが、スピン編はこの辺で。