着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

同業者の残念な対応

2024-07-02 23:10:16 | 着付け師
先日、生徒さんのお嬢さまがお友達の結婚式に参列する際、着物を着られることになりました。
 
生徒さんは他装(人に着物を着せること)が出来る方なので、ご自身でお嬢さまの着付けをされるご予定でしたが、事情があって現地式場の着付け師にしてもらうということになりました。
それには少し残念がっておられましたが、生徒さんはお嬢さまが着られる着物や長襦袢、帯や帯揚げ帯締めなどのコーディネートをお嬢さまと一緒に入念にされ、お嬢さまもそれを着るのを楽しみに当日を迎えたそうです。
 
さてお式の当日、不測の事態が発生しました。
お嬢さまに持たせた長襦袢の袖幅が着物のそれと微妙に合っておらず、着物の袖口からほんの5㎜ほど長襦袢の袖が出てきてしまうというハプニングが起きてしまったのです。
着付けを少しでもかじっていて知識がある者にとって、本来礼服の着用シーンでの着物の袖口から長襦袢の袖口が出てきてしまう(寸法があっていない)状態などというのは違和感があり、ちょっと気持ちが悪いものです。
生徒さんは着物を着た後のお嬢さまの写真を見て、
「前もって入念にチェックをしたつもりだったのに抜かりがあった」
と物凄く落ち込まれていました。
 
でも、一方で、お嬢さまの着付けを担当された着付け師もそのように本来なら出てこないはずのものが出てきた状態に着上がればすぐに気づいたはずで、私たちと同様に
「あらっ?少し寸法があっていないな」
と思われたはずです。
私ならばお客さまのご了承のうえ長襦袢の肩の部分を少しだけつまんで抜うか、安全ピンで袖肩の部分を一部つまんで挟むなど、着物の袖口から長襦袢の袖が出ないような処置をしていたと思います。
私は大抵の現場には針と糸、安全ピンなどを携えていることが多いです。
一方で、現場によっては万一の危険に備えて針や鋏を持ちこむことを禁じているところもあり、ひょっとするとお嬢さまの着付けの現場はそのようなところだったのかもしれないと思いました。
ですが、針と糸を使わないで長襦袢の袖口が出てこないようにするような簡単な方法だってあります。
そして、私ならば針や安全ピンを持ち込めない現場でもそのくらいの対応はさせていただいていただろうと思ったのです。
大して時間がかかる処置でもないのにどうして現場の着付け師は何も対応してくださらなかったのかと残念に思いました。
生徒さんも
「確かに自分の確認不足ではあったけれども、ちょっとしたことなのにどうしてその位の対応をしてくださらなかったんだろうと思ったんです…」
と、何とも残念なご様子でした。
私自身も同業者の対応にモヤモヤが残った出来事でした。

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko

 

 


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