20年以上昔のディーラー勤務時代の部下O君から
この歳になっても毎年、誕生日にケーキをいただきます。
【江戸時代の隠居】
江戸時代の平均年齢は
17世紀30歳、18世紀35歳、19世紀38歳でしたが
乳幼児の死亡率が高かったためで
無事20歳まで生きた人は平均60歳まで生きられました。
江戸の人達は平均20歳で結婚し22歳で長男が誕生すれば
44歳の時長男が成人し、平均5人の子を産んでいるので
57歳の時、末子が成人する事になります。
これでは一生子育てで終わってしまい
余生を楽しむ時間など無いように思えますが、そうではなく
平均5人産んでも全員成人まで生きのびるのは稀だったし
子供は5、6歳から寺子屋で教育を受け
7歳くらいで卒業すると奉公に出るのが普通だったので
手がかからなくなる年齢は今よりかなり早かったのです。
商家などでは、長男は25歳くらいまで親の手先となって働き
親は50歳前後で家督を譲って隠居となりました。
現役時代に借家でも建てておいてその家賃で食べていく者もいたり
家督を譲った子供から月々生活費をもらっていた者もいましたが
寺子屋の先生も読み書きそろばんの出来る商家の隠居には良い仕事でした。
ちなみに、江戸に限っては学校に商店と同じ“屋”を使うことを嫌い
「手習師匠」と呼んだ、と聞いたことがあります。
大きな商家ならば中に隠居部屋を作って住んだり
別邸を建てて趣味三昧の隠居暮らしをしましたが
おおかたは店、兼住居を若夫婦に譲って
長屋住まいでつつましい生活をして余生を送ったといいます。
老中とか大老とか言うように“老”とは邪魔な存在ではなく
経験、知識の宝庫として大事にされていたため
自ら積極的に口出しはしなくても相談されれば経験を生かし
指導もしたし、調整役、世話役もして
周りからは頼られ尊敬される存在でしたが
決して家に引きこもっているわけではなく
見物、旅、グルメ、趣味の集まりに積極的に参加しました。
数多くの庶民が、隠居になるのを楽しみに若いうちは一生懸命働いたり
商売が栄えて財を成せば若いうちから家督を譲って
早々と隠居して好きな事で一生を過ごしました。
経済的にはつつましくても
その生活ぶりは活き活きとしていたといいます。
本当かどうかは別にして
こんな隠居生活がいいなあ…。