2反歩の広さで主にフジを生産するBさんの収入を
これまでに分かった数字から計算すると
収穫したリンゴ全てを市場(いちば)に出荷する場合の1年間の売上は
160円×3600kg×2反=115万2千円
なのに、Bさんは50万円も儲からないと言います。
とすれば、あとはここから差し引かれる諸経費の問題しかないと思うのですが
この部分についてのデータ数字を見つけることができません。
正確な回数は不明とは言え、10回近くに及ぶ消毒とそのためのエア設備
その他、灌水の設備や自走式草刈り機&ビーバーと呼ばれる刈払い機など
動力のためのエネルギー代を含めたら
それなりにお金はかかりそうではあることは確かです。
自家消費用に数本のリンゴの木を持つ友人Oさんが言うには
6~7割はこうした経費が掛かるはずだそうですので
残る儲けは3~4割、つまりは35~46万円となり
「50万円も儲からない」と口にするBさんの話とも合致します。
この程度なら、5カ月間、延40日のスキー初心者向けコーチのアルバイトで
若者に囲まれて楽しみながら稼げてしまいます。
ちなみに一般的な物販は大体、商品仕入れ価格×1,5=小売価格
逆に言ったら 小売価格×0,66・・=仕入れ価格 ですので
いわば製造業である農業もこうした“6~7割の経費”が原価になるとしたら
普通の物販と全く同じ価格構成になってしまうことが分かります。
もしこの内容の物販で1年間115万円(月10万円弱、25日営業で1日4000円弱)
の売り上げしか上がらない店なんて、自宅の一部を改造してお婆ちゃんが営む
子供相手の駄菓子屋ならいざ知らず、何年モツことやら。
独立店舗だとしたら、そもそも店番していて
孤独に耐えられなくなってしまうことは間違いありませんし…。
Bさんがリンゴ生産で儲けを増やすには設備や機械等はどのみち必要なのですから
2反歩よりももっと広い、でも夫婦二人以外の人手に一切頼らなくて済む規模まで畑を広げることで
経費率(原価率)を下げることが必要なのでしょう。
もしくは、直接消費者に届ける販売ルートを見つけ売上高自体を増やす方法もありますが
安易に流行のネット販売などに飛び付くことは危険で、近所の直売所や
地元ケーキ屋などの安定した販売ルートの確保が必要だと聞いてもいます。
こうして、Q&Aの回答にあった1反歩当たり28万円(2反歩56万円)の年収は
規模の大きな畑の数字であって、Bさんのように小規模の場合には
「経費率が高いためそこまで達しない」という極めて当たり前の結論に行き着くとともに
食べるならリンゴよりもモモやブドウ、サクランボの方が好きですし
今のところ農作業そのものに特別な魅力を感じているわけではありませんので
「オイ、あんたもリンゴを作らないか?」と再度、Bさんに問われたら
次からははっきりと「やりません!」と答えることが出来るようになった次第です。