夫婦が離婚する場合、未成年の子供がいるときは
その子供の親権者を決めなければならないことは民法で定められています。
そして、今回のMさんのように
母親 が浮気した場合は次のように考えられるようです。
親権はあくまでも「子の福祉(幸せ)」を基準として、具体的には
虐待の有無、子の年齢や性格、経済力、居住環境養育への熱意、愛情
さらには父母の健康状態などから、どちらが親権者となるべきか総合的に判断されます。
このため、不貞行為(浮気)は他の場面では非常に重要な問題ではあっても
子どもの親権決定の場面においてはそれほど重要ではなく、
それのみをもって親権者としてふさわしくないとの判断はされません。
子供に十分に愛情を示し離婚後もきちんと育てていけるようなら親権者となり得ます。
ただし、不貞行為により子供に悪影響を及ぼしたという事情があったり
浮気相手と会っている間に小さい子を一人で長時間放っておく、または
頻繁に夜遊びに出かけたりするなどして、育児を十分に行っていない事実がある場合は
親権者としてふさわしくないと判断されることもありますが、現実的には多くの場合
10歳未満の子の場合は虐待などの特別な理由のない限り母親が親権者となり
10歳以上の場合は子の意思に任せることになります。
また、兄弟姉妹がいる場合は親権者が別々とならないように配慮されたり
生活環境を変えない方が「子の福祉」に適すると考えられているため
別居期間がおよそ1年半程度以上の長期になると、生活環境を変更するだけの
特段の事情がなければ原状維持を優先する傾向にあります。
もしこの通りになったとしたら、離婚原因がMさんの不貞行為(浮気)ではあっても
子供たちは2人とも10歳未満ですので、母親のMさんが親権者である方が
子供たちの利益になると判断される可能性が高いということになり()
そればかりかO君は、請求されたら養育費の支払いもしなければなりません。
例え仮に、Mさんの日常の話のように“性格の不一致”や”価値観の相違”
などが根底にあり、いずれ将来、どのみち別れたかも知れないにしろ
これまで生活費のほとんどを稼ぎ出すため懸命に働いてきたのに
今ここで女房を寝取られた上、子供たちは連れて行かれ、その上さらに
親権争いに勝ったMさんへ養育費も支払わなければならない事態に陥るO君に対して
同じ男として周りはどんな言葉をかけてあげればよいのか…。
「離婚の原因を誰が作ったのかという夫婦間の問題と
親の子どもへの扶養義務とは別問題」とか「養育費を支払うことで子育てに参加する」などと
建前論を言うことは簡単ですが、きっと彼が感じるであろう不公平感を
拭い去ることは出来るのでしょうか?
請求されるまま払うのではなく、妥当と思われる金額や支払う期間、方法などを
調停で決めることが出来ると言ったって、周りからは一見したところ
特段の非がない彼の側が“支払う”ことに変わりはないのです。
他方で、浮気相手とMさんには当然、各々に慰謝料を請求できるわけで
文字通り、これが唯一彼にとっての慰めになるのでしょうか。
(続く)