硬い内容ですが子供がいる夫婦が離婚しようと思った時
まずはぶつかる問題です。
〇親権者:未成年者の子どもを監護・教育し、同時にその財産を管理し
その子どもの代理人として法律行為をします。
*親権(しんけん)…身上監護権+財産管理権
〇監護権者:未成年者の子どもの近くにいて世話や教育をする
どちらかの親のことで、特段の事情がない限り
原則として親権者がこれを行使します。
同一のほうが子どもの福祉に資すると
一般に考えられているからです。
*監護権(かんごけん)…親権の一部である身上監護権のみを
取り出して親が子どもを監護し教育する権利義務
親権者と監護権者の決定的な違いは
親権者は離婚の際に必ず決めておかなければならないのに対して
監護権者は離婚の前でも後でも決めることが出来る点です。
これを取り決めるための「監護権者指定の手続」は
離婚の件と同様にまず両親の話し合い
それで決まらなければ家庭裁判所(以下、家裁)に調停
または審判の申し立てによって決めることになります。
家裁は申し立てに基づき調査員を派遣して
(1)子どもに対する愛情
(2)収入などの経済力
(3)代わりに面倒を見てくれる人の有無
(4)親の年齢や心身の健康状態など親の監護能力
(5)住宅事情や学校関係などの生活環境
(6)子どもの年齢や性別、発育状況
(7)環境の変化が子どもの生活に影響する可能性
(8)兄弟姉妹が分かれることにならないか
(9)子ども本人の意思
などの事情を調査の上、総合的に判断します。
別途ほとんど同じ手続で「親権者指定」もありますが、親権が
どちらの親になるかの問題は離婚の条件でも重要なものの一つであり
親権争いの話し合いが決裂した場合は
そもそも離婚するかしないか自体が再考される可能性がありますので
離婚調停の申立をまずは行ない、その調停の中で同時に親権も決めていけば良く
親権者指定だけの申し立てはしないのが一般的とされています。
具体的に今回のO君とMさんの場合に当てはめると子供に関して…離婚の成立は後回しにして、まずは子供たちを生活させるため
監護権者の指定を家裁に申し立てている
(現在はO君が実家で彼の母親の協力の下、育てている)離婚に関して…話し合いによる協議離婚は親権の取り合いで成立せず
家裁に離婚(&親権)の調停または裁判(和解)を申し立てる予定(のはず)
このように監護権と親権は別物ではあっても
これを決める手続はほとんど同じこともあり
一旦、監護権を取られてしまったら、特段の事情がない限り
そのまま親権も失う可能性が高いようです。
かくして、すでに家裁からはO君とMさんそれぞれの生活環境の調査が終わり
今は監護権者にどちらがなれるのかの決定待ちの状態だそうです。
(続く)