久しぶりの晴天の朝、母の所に朝食を持って行き、
ポータブルトイレを水洗いし、トイレの掃除をする。
と言う一連の毎朝の作業をこなしつつ、
母の洗濯機を、何でもご茶混ぜにして回し、
そして2階に行き自分達の洗濯物を、選別して洗い、
窓を開け、清々しい空気を部屋に入れながら、掃除機をかける。
久しぶりの晴天の日は、
グータラな私でも、さすがにグータラなんてして居られない!
上を下にと動き回り、母の洗濯を干しに下に来た。
窓を大きく開け、秋の日射しを部屋に入れる。
本当に気持がいい。
そしてふと母を見ると、
ついているラジオの方を惚けた眼差しで見ている。
私 「お母さん、なんか話すことないの?」
母 「ご苦労さま」
私 「なにぃ~?うんうんう~ん、なにか言う事ないのかなぁ、
こんな天気のいい日にはさぁ」
母はしょぼついた目をパチクリさせた。
母 「・・・・・」
母 「ハイ、ご苦労さま」
私 「だからさぁ、久しぶりに、こんなに天気が良いんだから、
ご苦労さまじゃなくてもっと他の事が言えないのかなぁ」
母はやっばり惚けた目つきで私を見ている
私 「だからさぁ、秋晴れで気持がいいね。とか言えないの」
母 「・・・・・」
私 「秋晴れで気持がいいねって言ってみな」
母 「はい!」
小学校1年生みたいなお返事。
母 「秋晴れで気持がいいね。」
おうむ返しかよ!
私 「もっといろんな事話さないと、ボケちゃうよ。
ただボンヤリしているとさ」
母 「私はラジオを聴いていたんたよォ」
とラジオを見つめている。
駄目だ!覇気がない88の老婆に何を求めるのか?
グータラの娘の母もやはりグータラなのか・・・
それにしても、もっと話してもいいのに。
昔は人一倍お喋りでいつも人の中心に立ちたがる、
ちょっと恥ずかしい母だった。
お喋りすぎるのも嫌だけど、言葉の出てこない、
感情の現れなあ母も情けない。